狭間の物語 (ページ8)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:1,471 hit

ーページ8

イース・リヴェルタは森を抜けて、都会を目指す。

都会とは、ハーデンベルギアが開いた平和の都、エクラシーレである。

イース・リヴェルタは、一度だけどうしても彼女に会って、ソルシエールのことを伝えたかった。

確かに自分の女王の仇かもしれない。

しかし、やはりどうしても、恨めなかった。

自分があの時、女王を諌めていればこんなことにはならなかった。

そう思ったからである。

道のりは、かなり長かった。

何日も歩く。

途中、町が見えた。

白塗りの壁を基本とした作りの家が何件も並んで立っている。

そこに住んでいる人は、とても幸せそうだった。

やがて、城が見えてくる。

それほど豪華ではない

むしろ、地味な城が立っている。

庭にそっと足を踏み入れる。

ふわふわの草の中に一輪の紫色の花が、健気に咲いている。

「ハーデンベルギア…。」

思わず、イース・リヴェルタは呟く。

太陽の光を浴びて、輝くその花は、女王、ハーデンベルギアの姿そのものを映している気がした。

「誰？」

凛とした声が響く。

思わず、イース・リヴェルタは身構えた。

そっと、近寄る。

黄色い物体が、のぞいた。

真紅のドレスに身を包んだ彼女は、堂々と立っていた。

イース・リヴェルタをみると驚きの声を上げる。

「生きて…いたの？」

「ええ」

ハーデンベルギアは、思わずイース・リヴェルタに抱きついた。

「よかった！本当によかった！！」

歓喜の声を上げるハーデンベルギアに、イース・リヴェルタは微笑む。

あの時からわずか10日しかたっていなかった。