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森を歩いている。
レーツェル・クリュプトンに見つからないように。
あれから、3日が経った。
イース・リヴェルタは、ずっと歩き続けていた。
しかし、なかなかいいところはない。
もちろん、いくあてもない旅だった。
「生きなきゃ…。」
飲まず食わず三日間。
もう、体力的に限界だった。
それでも、女王が望んでくれたことを
臣下として、いや、友として
守らなければいけない。
動かないはずの足を必死に動かし、
重いはずの体を前へと運ぶ。
ーーーーーー突然、イース・リヴェルタは立ち止まる。
…魔力の気配だ。
辺りを見渡す。
それらしき人はいない。
しかし、イース・リヴェルタには、普通には見えないものも見えた。
木の後ろ
魔力の気配はそこから漂う。
魔力からいうとイース・リヴェルタの比ではない。
魔法陣を展開する。
服が防具服へと変化する
そのまま、武器である矛をもち、木の後ろに突っ込んでいった。
ガキン!!!
鈍い金属音がする。
フードを深くかぶった華奢な人は、その見た目に似合わぬ力で、イース・リヴェルタの攻撃を受け止めていた。
「待て。」
言われた一言で、イース・リヴェルタは過去の記憶へと戻る。
この声…。
深みがあって
威厳もあって…
しかし、その記憶を断ち切る。
今の彼女はそんな余裕などない
ただ、目前の敵を倒す。
それだけだ。
イース・リヴェルタは、なおも矛を振るう。
相手の、声だけは少年と思わしい人は、自分の武器であろう矛を使い、受け止める。
普通の人ならイース・リヴェルタの矛は受けることができない。
それは、魔力が備わっているからだ
しかし、目前の少年は、余裕で受け止めている。
魔力はそこまでではないはずだ…。
「俺は、無駄な争いはしたくない。」
イース・リヴェルタはそこで、ハッとして動きを止めた。
少年とイース・リヴェルタは互いに目の前の人を見る。
「あ。」
二人は、同時に声を上げた。
フードで顔こそ見えないが、目の前の少年は、紛れもなく、昔あの女王を助けたものだった。
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作者名:N x他1人 | 作成日時:2017年3月18日 17時