スカーレットの邂逅編40 ページ41
「スコッチさんが助けてほしい人って、安室さんなの？」
問いかければ、ひどく優しくて、それでいて壊れそうなほどに悲しげな目がそこにあった。
『そうだよ。俺の親友なんだ』
スコッチさんの、親友_____
「安室さんの悪霊を取り払うために、私をこの世界に連れてきたの？」
しかし私の質問には答えず、スコッチさんはふっと顔を引き締めた。
『あいつのこと、よろしく頼むぜ。零を助けられるのはもう、お嬢ちゃんしかいねえ』
そう言うと、合図もなしにぽん、と消えてしまったスコッチさん。まったく。本当に勝手な人だ。
それにしても、やっぱりだな。
また、れい、って言った。安室さんのこと。
れい、か。
安室透という青年に、俄然興味が湧いてきた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
安室side
彼女が去って行った車の中で、俺はしばらく微動だにせずに腕を組み、じっと彼女の帰っていく背中を見送っていた。
桜庭A_______
なんの変哲もない、どこにでもいる女子大生だ。霊が見える、なんていう突拍子もない虚言を吐くこと以外、は。
第一、ネオンの光が溢れかえり、電子機器が発達し、情報という目に見えぬ媒体すら飛び交うこの21世紀で、霊？
馬鹿げてる。からかわれているのか。しかし霊について話している時の彼女の表情はいたって真剣で、それでいて半分その瞳はどこか諦めたように冷めていた。
信じてもらえないことなんて、Aにとっては日常茶飯事……彼女の「疑ってるでしょ」という声がその事実を教えていた。
だけど。
それにしても。
「なんか……体の疲れがとれたような…？」
最近は殆どまともに家に帰っていない。家、というのは勿論、降谷零としての本当のセーフティハウスである。
もっぱら仮眠室で過ごし、そろそろ体も限界に近かった。風見の「降谷さんももう、若くないんですからね」という、呆れ顔を思い出し、一人苦笑する。
まさか、な。
もうすぐ三十路の体の疲れが、そう簡単に取れるはずがないのだ。
気のせいだろう。
それとも、本当に彼女の“お祓い”とやらが効いたのか。
馬鹿馬鹿しい。
心の中でつぶやく。それでもやはり、体の疲れが訳もなく取れたことは間違いないようで。
頭の上にそっとのせられた、Aの手の温度を思い出して、自分でも気がつかないうちに笑っていた。
前言撤回________桜庭Aに俄然興味が湧いてきた。
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0 - ここのスコッチと言うかヒロがどちらかというか松田っぽい気がする… (2022年6月11日 4時) (
レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
かなえ - 沖矢さんが東京を知らない描写がありますが、米花町は東京都にある設定ですよ？ (2020年5月17日 15時) (レス) id: 3ecbb3d6aa (このIDを非表示/違反報告)
さち - 好きです。おもしろいです。よろしくお願いします。 (2019年10月23日 15時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ミツキmitsukiさん» ありがとうございます！！ 降谷さんかっこいいです (2018年4月22日 20時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
ミツキmitsuki(プロフ) - とっても作品、おもしろいです！あと、わたしも安室さんより降谷さん派です！かっこいいですよね！！ (2018年4月22日 10時) (レス) id: 3d854cbce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2018年4月5日 19時
