スカーレットの邂逅編26 ページ27
「ちょっと中を調べてみるか?」
「余計な事をするな。声なんか出せるわけねーんだからよ…」
声なんて出せるわけがない……?
どういうこと?
私たちのほかに、まだ誰か乗ってるの…?
私はぎゅっと目を瞑り、今まで閉じていた“センサー”を解放する。
こ、これは……!!!
さっと振り返る。私の後ろにたたずむ大きな段ボールの中……う、うそ、まさか…そんな……
「こ、コナン君……」
私がコナン君の上着を掴みかけた時、
「哀ちゃん、上着一枚だけだから、大ちゃんを抱いてる? ポカポカだよ!」
「えぇ、そうね…」
い、いいな、動物カイロ…。
哀ちゃんに上着を貸したせいで、私の体はかなり冷え切ってしまっていた。ぎゅっと自分の肩を抱きしめ、体の熱を逃がさないように背中を丸める。
だけど悪寒は治らない。どうしよう。とんでもないことに巻き込まれてしまった。
そういえば、今日はスコッチさんの気配がしない。こんな時に一体どこでなにをしているのだ、あの幽霊は。
「じゃあ次に業者の人が扉を開けたら、外に出してもらいましょう!」
「いや…そいつは止めといた方がいい…」
コナン君が私をチラリと見る。
私もこっくりと頷く。
「え?」
「ど、どういうことだよ、コナン!」
「どうやらオレ達の前にもうお客さんが乗ってたようだぜ…」
そう言って、私の背後の段ボールを開き、その中を時計の光で照らした。
薄暗い中に、光と共に浮かびあがってきた光景に、私は口を押さえて何とか叫び声をこらえる。
そこには、蒼白な顔をした男性が一人、横たわっていた。血色のないのっぺりした土のような顔色が、彼がもうすでにこの世にはいないのだ、という事実を淡白に告げている。
「ど、どういう事?」
「さあな…この人がどこの誰で、何で殺されたかはわからねーけど…。
殺したのは恐らく、さっきの宅配業者の2人組だろーぜ…」
まあ、多分そうだろうなぁ。
私はそのことについては、特には驚かなかったが、
コナン君の言葉に、探偵団のメンバーたちは驚愕の色を浮かべている。
「でもどうしてこんなコンテナの中に…」
「冷蔵設備が付いてるからだよ…死体の腐敗が遅れるからな」
死体と共にトラックに揺られている、という事実が車内の温度を更に数度も下げたように思われた。
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0 - ここのスコッチと言うかヒロがどちらかというか松田っぽい気がする… (2022年6月11日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
かなえ - 沖矢さんが東京を知らない描写がありますが、米花町は東京都にある設定ですよ? (2020年5月17日 15時) (レス) id: 3ecbb3d6aa (このIDを非表示/違反報告)
さち - 好きです。おもしろいです。よろしくお願いします。 (2019年10月23日 15時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ミツキmitsukiさん» ありがとうございます!! 降谷さんかっこいいです (2018年4月22日 20時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
ミツキmitsuki(プロフ) - とっても作品、おもしろいです!あと、わたしも安室さんより降谷さん派です!かっこいいですよね!! (2018年4月22日 10時) (レス) id: 3d854cbce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年4月5日 19時