スカーレットの邂逅編16 ページ17
とりあえずその日は、その空き家に一泊した私。不法侵入だけど、もうどうしようもない。
今日中にバイトを見つけて、なんとかお金を稼がなければ。
『きっと気にいると思うぜ。なかなかオシャレな喫茶店なんだ』
妙に楽しげなスコッチさんに連れられて、私がやって来たのは、大通りに面するポアロ、という名前の喫茶店。
な、なるほど。確かにレトロで可愛らしい外観の、なかなかオシャレなお店である。
しかし、ふっと上を見上げて、私はしばし硬直した。
「ちょっとスコッチさん！」
『まぁた、そんな大声あげちゃってー。なに？ どうかした？』
スコッチさんの揶揄も耳に入らないほど、私は愕然として喫茶店ポアロの上階を見つめた。
「ここ、毛利探偵事務所じゃない……！」
『そだよー？』
「そだよー？ じゃないっつーの！！ 困るって言ってるじゃん！！」
『何が困るんだよ』
「だって毛利探偵事務所ってことは！！」
「毛利先生に何か御用ですか？」
背後から落ち着いた声をかけられて、はっとして振り向く。
腕にスーパーの買い物袋を下げた男の人が一人、私に人の良さそうな笑みを浮かべていた。
ミルクティー色とでも言うのだろうか___金髪、というには綺麗すぎる、何とも表現し難い綺麗な髪の毛。
褐色の肌と日本人離れしたコトバルトブルーの瞳。
ちゃ、チャラ……！！
何この人！ サーファーか何かか？
「えっと……その…いや…毛利探偵に用があるというわけでは……」
「おや、違いましたか。毛利探偵の名前が聞こえたので、てっきりそうかと思ったんですが……。
あ、僕は毛利探偵の助手で、ここの喫茶店でバイトしている安室透といいます」
「あっ……そ、そうだったんですね……」
『チャンスだぞ、お嬢ちゃん！！ 零に頼んでバイトとして雇ってもらえ！』
スコッチさんが横から余計な助言をしてくる。
てか……
「れい？」
「はい？」
私が思わず聞き返すと、怪訝な顔をする安室さん。
やばいやばい。また沖矢さんの時と同じ過ちを繰り返すところだった。
「今、れいって言いました…？」
「え、い、いや……れ、霊の気配がするなぁ〜、と。はははは」
「霊の、気配……？」
安室さんがぽかんとした顔をする。
「そ、そうなんです！ 私、昔から霊感？ 的なものがあって……」
「へええ……霊感、ですか」
安室さんの視線が、どこか生暖かいものに変わる。あー、絶対ヤバい奴だと思われてるんだろうなあ。
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0 - ここのスコッチと言うかヒロがどちらかというか松田っぽい気がする… (2022年6月11日 4時) (
レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
かなえ - 沖矢さんが東京を知らない描写がありますが、米花町は東京都にある設定ですよ？ (2020年5月17日 15時) (レス) id: 3ecbb3d6aa (このIDを非表示/違反報告)
さち - 好きです。おもしろいです。よろしくお願いします。 (2019年10月23日 15時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ミツキmitsukiさん» ありがとうございます！！ 降谷さんかっこいいです (2018年4月22日 20時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
ミツキmitsuki(プロフ) - とっても作品、おもしろいです！あと、わたしも安室さんより降谷さん派です！かっこいいですよね！！ (2018年4月22日 10時) (レス) id: 3d854cbce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2018年4月5日 19時
