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episode82 ページ39

家具のない小さなリビングに、敷き詰めらた絵、絵、絵。それから見るからに高価な壺や、宝石なんかもある。
まるでアラビアンナイトに出てくる魔法の洞窟みたい……。

「へえ、、、なるほどねえ」

世良ちゃんは目の前に置かれた額縁を手にとって、面白そうに顔を歪ませている。

「どういうこと? なんなのこれ? あ、誰かが画廊でも開くつもりなのかな?」

「そうだったらどんなによかっただろうねえ」

「じゃあ違うの?」

「多分、これは脱税だと思う」

世良ちゃんは勿体ぶることなく、そう言い切った。

「脱税!!?」

「美術品に代えて、ここで隠してるんだよ。頃合いを見て、多分海外のコレクターに売りさばくんだ」

「…ど、どういうこと?」

「よくある手口だよ。ひっそり海外のコレクターに売り付けるんだけど、そのコレクターは実は仲間で、所得税の限りなく安い海外のどこかで現金にかえる。そうやって海外へ金を移すのさ。海外に銀行の口座を作ったりする手もあるけど、面倒だしお金もかかるからな。この方法だと美術品の輸送費くらいで、大して金はかからない」


なるほど…。ケチな人はどこまでもケチなんだな。
よくこれだけの美術品を隠し持とうと思うものだ。

「たぶん、この家の管理している会社の関係者じゃないかな。
お化けの噂が流れて人が近づかないのをいいことに、ここを隠れ家に選んだのかも…いや待てよ…でもお化けの噂が流れ始めたのは最近だよな…でもこの美術品の数は相当あるから、つい最近運んできたんじゃ間に合わない…」

世良ちゃんはぶつぶつ呟いて、部屋の中を徘徊する。

「じゃあ……お化けの噂は、ここに美術品が移ってきた後に流れたってこと?」

「…うん、そうだろうな。もともとこの家は、トラックに轢かれた女の子の家族が住んでた家だ…。そんな不穏な一軒家なんて、そうそう買い手なんてつかないよ。
それを分かっててここを隠れ家に選んだんだけど、、そのあと人が近づかないように、さらに噂話を広める必要が出てきた、とか」

「念には念のためってことかな?」

「……かもね」


私はぐるりと部屋を見回す。
美術品が並べられている以外は、なんの変哲もない普通の空き家。
だけど、なんだろう。
その時、本当にその時、何故かは分からないけれど不意に嫌な予感がした。

例えるなら…そう、真っ暗な闇夜を歩いているんだけど、その先は崖っぷちにつながっていて、でも歩く私はそれに気がついていない……そんな感じ。

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常夏(プロフ) - コナンの小説でこんなに笑ったの初めてですwww (2021年11月3日 23時) (レス) @page16 id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - はじめまして。すっごく面白いくて一気読みしました!更新楽しみにしてます(^_^) (2019年9月28日 7時) (レス) id: 3d2c2e3b7f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あぁあぁあこの展開すきぃいいい! (2019年9月26日 20時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
名探偵銀ちゃん - 銀魂臭!最高ですネクロマンサー! (2019年9月16日 23時) (レス) id: b151daad25 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ4、rx-7のrxをRX-7にしたほうがいいと思います。なんか、、上から目線で申し訳ないです…… 失礼しました (2018年10月8日 17時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2018年3月29日 21時

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