episode46 ページ3
「赤井さんが買ってくれた服だよ?
可愛いと思ったから買ってくれたんじゃないの?」
「生地が洗濯しやすそうだったからな」
「そんな理由で選んでたの!!!?」
てっきりこういうシンプルで清楚な服装が、赤井さんの好みなのかと思ってたよ。
「ねえ、真剣に考えてよ」
「じゃあ左」
手元の書類に目を落としたまま答える赤井さん。
左は白いシフォンのワンピースだ。
胸元に淡い色で花びらが刺繍されていて、派手さはなくいたって優等生な感じ。
でも、あんまりひらひらのスカートとかで行っても、気合い入れまくりって感じで、安室さんに引かれるかもしれないし。
うん。ここは清楚なワンピースがいいだろう。さすが赤井さん!
「ありがとう赤井さん!」
さっそくワンピースを着て、髪の毛を溶かして、少し考えてから、いそいそとメイクポーチを持ってきた。
まあメイクポーチって言っても、大した物は殆ど入っていない。私は普段メイクはしないし、口紅とアイシャドウとチークくらい。
口紅つけたら、ちょっと大人っぽくなるかな?
少しでもいいから安室さんと釣り合うように……。
だとしたら、大人な感じがいいだろう。歩いていて兄妹に間違われることだけは、何としても回避したい気持ちだ。
口紅を塗って、アイシャドウをつけたら、ちょっと別人みたいになって驚いた。
やっぱ私みたいな地味な顔だと、化粧が映えるなぁ。すご。
そろそろとリビングに戻ると、さっきと同じように仕事中の赤井さん。
おっ、これはもしかしてチャンスじゃないか? このすきにさっさと出て行ってしまおう。
「いってきます〜赤井さん〜……」
いちおう小声で告げて、そうっと玄関の方にUターン……しかけたとろで、ガチッと肩を掴まれた。
首だけギシギシと後ろを振り返ると、赤井さんがすばる並みの爽やかな笑みを浮かべて立っていた。
「行ってきますもなしか? ん? いい度胸だな」
「い、い、行ってきます!!!」
まじまじと赤井さんが、私の顔を覗き込む。
「化粧でもしたのか」
「お、大人っぽくしてみたの! どうかな?」
何故か生暖かい目で、私の頭をぽんぽんと叩く赤井さん。
バカにされてる、と感じるのは私だけだろうか。
「じゃあ、もう、行くからね」
特に反応のない赤井さんに、少し落胆しつつ、早足で工藤邸を出た。
ワンピースの襟の裏に、小さな発信機が点滅していたことなんて、もちろん気がつかずに。
634人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
常夏(プロフ) - コナンの小説でこんなに笑ったの初めてですwww (2021年11月3日 23時) (レス) @page16 id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - はじめまして。すっごく面白いくて一気読みしました!更新楽しみにしてます(^_^) (2019年9月28日 7時) (レス) id: 3d2c2e3b7f (このIDを非表示/違反報告)
糖(プロフ) - あぁあぁあこの展開すきぃいいい! (2019年9月26日 20時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
名探偵銀ちゃん - 銀魂臭!最高ですネクロマンサー! (2019年9月16日 23時) (レス) id: b151daad25 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ4、rx-7のrxをRX-7にしたほうがいいと思います。なんか、、上から目線で申し訳ないです…… 失礼しました (2018年10月8日 17時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海星 | 作成日時:2018年3月29日 21時