彼の特権�� ページ8
もちろん、Ｔシャツはぶかぶかだ。
細身に見えて、案外安室さんも肩幅でかいんだなあ。さすが公安。
「すみません、本当にありがとうごさいました」
「別にいいですよ」
「あれ、何もないんですか？ 似合ってますねとか、可愛いですねとか」
「似合ってますよ、可愛いです」
まさかのカウンター攻撃受けた。
にっこりと優しく微笑まれて、ごほんごほんと咳払いで誤魔化す。
「……あ、雨やみませんね〜」
「でも少し小降りになってきましたよ。コーヒー淹れますね」
◇ ◇ ◇
安室さんの淹れてくれたコーヒーを飲みながら、時々忘れた頃に彼と話す。
そろそろ暗くなってきた頃、ようやく長い夕立がやんだ。
「よかった。やんだみたい。じゃあ、帰りますね」
「連絡した方がいいんじゃないですか？」
「えっ？」
「最近、若い女性を背後から襲って殺してる連続殺人事件が起きてるじゃないですか」
ああ……朝刊の新聞で見た物騒な事件が、蘇ってくる。
「たしかに。沖矢さんに迎えに来てもらいます」
「ええ」
安室さんは私の言葉に頷いた。
電話して数十分ほどで、沖矢さんの赤いスバルが、ポアロの前に止まった。
「じゃあ、ありがとうごさいました！」
「はい、またお越しください」
安室さんにもう一度お礼を言って、沖矢さんの車に乗り込む。
「大変だったな」
車の中では、沖矢さんの姿をした秀一が出迎えてくれた。
「ほんとだよー、おかげて服はびちょびちょだし」
「ああ、だから服が違うのか。着替えたのか？」
「そうそう。安室さんに貸してもらったの。今度返さないと」
しぃんと車内が静まりかえっている。
何となく妙な雰囲気に、そろそろと秀一の顔をうかがう。
「……なに、どうかした？」
「………それは安室君の服なのか？」
「え？ うん、まあ……」
な、なに？ そんなにまずいこと、私言ったかな？
考えてみるが分からない。
しかし秀一はそれっきり何も口にせず、家に着くと無言で私に部屋着を差し出した。
「早く着替えろ」
「待ってよ、さきシャワー浴びたいから」
何か言いたげな秀一を置いて、さっさのシャワーを浴びる。雨水で汚れた体を清潔にし、さっぱりしてお風呂場から出てきたところで、一時停止した。
私が入る前、自分で用意していたパジャマがなくなっていて、代わりに秀一のパジャマが置いてある。
いやいや、おかしい。なんで？
「ちょっと！！！ しゅういちぃー！！？」
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ルナ(プロフ) - こんにちは！とても面白くて一気に見入ってしまいました！ 下の方レスで続編がないのは残念ですが見返したら他のも読んで楽しみたいと思います！！ また、主様のお気持ちが変わったら続編、ぜひ書いて頂きたいです！ (2020年6月17日 12時) (
レス) id: 82be312cbf (このIDを非表示/違反報告)
長谷川信(プロフ) - 海星さん» そうだったんですね！いえいえ！返信頂けて嬉しかったです！！こんなに素敵な作品ですから、何回読んでも楽しめます！！味わいまくりますから泣かないでください！！！！十分すぎるほど幸せです！！！ (2020年5月1日 23時) (レス) id: 48d6a817f0 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 長谷川信さん» コメントありがとうございます。続編は一度連載していたのですが、納得のいく作品ではなかったので、途中で消してしまい、今はありません。せっかく読んでいただいのに、本当にすみません！泣 (2020年4月30日 15時) (レス) id: 49ba9a5e52 (このIDを非表示/違反報告)
長谷川信(プロフ) - はじめまして！もうあまりの素敵さに悶えてます！！！ごちそうさまです！！ちなみに続編とは何という題名なんでしょうか…見つけることができなくて… (2020年4月29日 16時) (レス) id: 48d6a817f0 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ブーサンさん» ありがとうございます！！ 頑張ります！ (2018年4月13日 22時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2018年1月11日 23時
