無意識の甘さ ページ31
「ま、間違えちゃった……」
「間違えた? なんの話だ?」
「うー……」
思わず動揺して問いかけると、俺の腕にぐりぐりと額をこすりつけてくるA。
おい、本当にどうしたんだ、こんなに甘えている彼女はかつて見た事が無い。天地でもひっくり返ったか?
もう一度どうしたのか問いかけると、今度は涙目になっている。情緒不安なのかこいつは。
「甘えようって思ったから……色々、してたのに……それただのワガママだったから……男の人がされて嫌な事に、ワガママとわざとらしい事って書いてあったから……ま、間違えた、の。
わ、わざとじゃないから!ごめんなさい!」
「は…?え?」
どういう意味だ。
本当に分からなくて首をかしげる。
「どういうことだ?」
渋々という感じで、Aが俺に先ほどまで見ていたスマホを差し出す。
そこには、『彼氏への甘え方』____________
上手な甘え方にそって、していけない事も書いているらしい。
「ここに、わざとらしいことはダメだって。で、でも本当にそんなつもりじゃなかったの……ごめん、ワガママ言って」
はぁ、とため息をつく。
ほんとうに、こいつは……
「俺がそんな心の狭い人間だと思ってたのか? 第一、俺は君に甘えられるのも、ワガママ言われるのも嬉しい。
わかったか?」
「う、うん……」
俺がAと頰を優しく撫でると、俺の手にそっと自分の手をあてて、ぎゅっと握りしめるA。
「秀一の手……おっきくて……大好き」
「っ……!!」
どうしたの?
と、俺の顔を覗き込んでくる。
「……お前のそれは、全くの無自覚なのか?」
「へ?」
「……いや、もういい。何でもない。俺は風呂に入ってくるからな」
慌てて立ち上がり、振り返ってAを見る。
「まだ持続してるからな。甘えたいことを考えておけよ。
あと、ネットはもう見るな」
「う、うん」
とりあえず一度落ち着け。ここで彼女に手を出してしまったら、これまで彼女が頑張って甘えてきてくれた事が無になってしまう。可愛いAを見るためにも、自分自身を落ち着かせるしかない。
冷たいシャワーを浴びて、何とか自分の理性に言い聞かせる。
そう思ってたのに、お風呂からあがったらAがソファーで可愛い寝顔で寝ていたので、
とりあえず、まあ、美味しくいただいた。
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ルナ(プロフ) - こんにちは!とても面白くて一気に見入ってしまいました! 下の方レスで続編がないのは残念ですが見返したら他のも読んで楽しみたいと思います!! また、主様のお気持ちが変わったら続編、ぜひ書いて頂きたいです! (2020年6月17日 12時) (レス) id: 82be312cbf (このIDを非表示/違反報告)
長谷川信(プロフ) - 海星さん» そうだったんですね!いえいえ!返信頂けて嬉しかったです!!こんなに素敵な作品ですから、何回読んでも楽しめます!!味わいまくりますから泣かないでください!!!!十分すぎるほど幸せです!!! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 48d6a817f0 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 長谷川信さん» コメントありがとうございます。続編は一度連載していたのですが、納得のいく作品ではなかったので、途中で消してしまい、今はありません。せっかく読んでいただいのに、本当にすみません!泣 (2020年4月30日 15時) (レス) id: 49ba9a5e52 (このIDを非表示/違反報告)
長谷川信(プロフ) - はじめまして!もうあまりの素敵さに悶えてます!!!ごちそうさまです!!ちなみに続編とは何という題名なんでしょうか…見つけることができなくて… (2020年4月29日 16時) (レス) id: 48d6a817f0 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ブーサンさん» ありがとうございます!! 頑張ります! (2018年4月13日 22時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年1月11日 23時