チェリーブロッサム�� ページ25
「やっぱり言った〜……絶対言うと思った〜」
「顔が赤いぞ、相変わらず素直じゃないな」
「顔なんて赤くないわよ。もう老眼が始まったの？」
「お前には学習能力というものがないのか？ 帰ったら覚えておけよ」
「無駄口を叩く前に弁当食べなさいよ。秀一の分まで食べちゃうからね！」
二人でぎゃいぎゃいと言い合いしながら、弁当をつつく。
「あ、秀一のお弁当に桜の花びら入ってるじゃん！」
「本当だな……あ、でもほら、君のにも入ってるぞ」
「げ。本当だ」
「それに髪にもついてる」
秀一が笑って、私の髪の毛の桜の花びらを指でつまむ。
そしてそのまま、ちゅ、と髪の毛にキスする秀一。
「……何やってんの」
「Aを見てるとキスしたくなるんだよ」
「それもう、病気だよ」
「それくらいAが好きってことだ」
帰り際、秀一が浜辺で拾ったハート形の貝殻をくれた。
「どこまでも格好つけるよね……その執念に恐れ入るよ」
「分かった分かった。顔が赤いことはもう突っ込まないでおくよ」
「………」
◇ ◇ ◇
帰り道。
はしゃいで疲れたのか、助手席で静かに寝入っているAを見つめて、ふっと甘い気持ちが込み上げてきた。
全く……こいつは本当に無防備だな。
出会った頃はもっと隙がなかったのに。
わずかに倒した座席に身を任せ、かすかな寝息が聞こえてくる。
それだけ気を許されているということか。
トロピカルランドの観覧車から見た夜景が、一番好き。
Aの言葉を思い出し、子供のように安心しきった寝顔にそっと口づけを落とせば、Aの匂いに混じって、かすかに春の甘い香りがした。
その時、Aが身じろぎして、小さく呟いた。
「しゅういち……」
少し驚いてAを見れば、かすかに笑って、さっき俺があげた貝殻を握りしめている。
全く……こいつは本当に……。
俺の心の弄ぶ天才なのか。
「愛してる、A」
彼女の耳元で囁いて、もう一度だけキスをすると、俺は再び車を走らせた。
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ルナ(プロフ) - こんにちは！とても面白くて一気に見入ってしまいました！ 下の方レスで続編がないのは残念ですが見返したら他のも読んで楽しみたいと思います！！ また、主様のお気持ちが変わったら続編、ぜひ書いて頂きたいです！ (2020年6月17日 12時) (
レス) id: 82be312cbf (このIDを非表示/違反報告)
長谷川信(プロフ) - 海星さん» そうだったんですね！いえいえ！返信頂けて嬉しかったです！！こんなに素敵な作品ですから、何回読んでも楽しめます！！味わいまくりますから泣かないでください！！！！十分すぎるほど幸せです！！！ (2020年5月1日 23時) (レス) id: 48d6a817f0 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 長谷川信さん» コメントありがとうございます。続編は一度連載していたのですが、納得のいく作品ではなかったので、途中で消してしまい、今はありません。せっかく読んでいただいのに、本当にすみません！泣 (2020年4月30日 15時) (レス) id: 49ba9a5e52 (このIDを非表示/違反報告)
長谷川信(プロフ) - はじめまして！もうあまりの素敵さに悶えてます！！！ごちそうさまです！！ちなみに続編とは何という題名なんでしょうか…見つけることができなくて… (2020年4月29日 16時) (レス) id: 48d6a817f0 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ブーサンさん» ありがとうございます！！ 頑張ります！ (2018年4月13日 22時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2018年1月11日 23時
