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Spell On Me ページ16

「あ……ん、……えっと……」

「ん?」

「あ……ん…も、もっと……もっとナデナデして?」

「よしよし、いい子だな」

秀一が尻尾をそっと触る。
相変わらず、尻尾の揺れは止まらない。

「んっ………」

びくっ、と体が跳ねる。
秀一がくすくすと笑った。

へなへなと体の芯から力が抜けていく。
秀一の暖かさが、心地いい。ぎゅっと抱きつく手にも、力が入らなくなってきた。
秀一があやすように尻尾を撫でる。

「犬は好きなご主人様を見ると、尻尾を揺らすらしいな」

「へええ……そう、なんだぁ……」

「ああ」

私の尻尾は、秀一が喋るたびにパタパタと動く。

大好きなご主人様かぁ……。
すりすりと秀一の胸に頰を寄せて、とろんとした頭で考える。


「だから尻尾が揺れてるんだねえ」

「そうだな」

そうかそうか。
そういうことだったのか。
秀一のことが好きだから尻尾が揺れてるんだ。何だ、よく考えたら当たり前のことじゃない。だって、私は犬だし。









え?

犬??







「って……ち、ちがああああああああうううう!!!!」

自分の大声に飛び起きた。
いつもと変わらない寝室の風景がそこにある。

どきどきと鳴る心臓を手で押さえ、そろそろと頭を触る。

当然、犬の耳なんてなかった。

ゆ、夢か? よ、よかったああ……。

「おい、どうした? 大丈夫か?」

びっくりした顔で寝室のドアを開ける秀一。

「叫んでたようだが……」

「ね、ねえ秀一……私、犬になってないよね?」

私をまじまじと見つめ、ため息をつく秀一。

「寝ぼけてないで顔を洗ってこい。朝飯にするぞ」

「ちょっと、待って秀一!!! 話聞いてよ!!」

秀一の後を追いかけて慌ててベッドから飛び起きる。

パタリ。

その時、覚えのある音に思わず振り返った。
尻尾は……ない。

なんだ、空耳か。
変な夢見たな……。

「おい、A、コーヒー冷めるぞ!」

「はぁーい!!」

秀一の声に叫び返して、寝室を出た。

All You Have To Do Is Stay、←Spell On Me



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ルナ(プロフ) - こんにちは!とても面白くて一気に見入ってしまいました! 下の方レスで続編がないのは残念ですが見返したら他のも読んで楽しみたいと思います!! また、主様のお気持ちが変わったら続編、ぜひ書いて頂きたいです! (2020年6月17日 12時) (レス) id: 82be312cbf (このIDを非表示/違反報告)
長谷川信(プロフ) - 海星さん» そうだったんですね!いえいえ!返信頂けて嬉しかったです!!こんなに素敵な作品ですから、何回読んでも楽しめます!!味わいまくりますから泣かないでください!!!!十分すぎるほど幸せです!!! (2020年5月1日 23時) (レス) id: 48d6a817f0 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 長谷川信さん» コメントありがとうございます。続編は一度連載していたのですが、納得のいく作品ではなかったので、途中で消してしまい、今はありません。せっかく読んでいただいのに、本当にすみません!泣 (2020年4月30日 15時) (レス) id: 49ba9a5e52 (このIDを非表示/違反報告)
長谷川信(プロフ) - はじめまして!もうあまりの素敵さに悶えてます!!!ごちそうさまです!!ちなみに続編とは何という題名なんでしょうか…見つけることができなくて… (2020年4月29日 16時) (レス) id: 48d6a817f0 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ブーサンさん» ありがとうございます!! 頑張ります! (2018年4月13日 22時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2018年1月11日 23時

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