episode31 ページ32
「とりあえず、皆さんがいる所へ戻りましょうか? その怪しい女の人も今はいないわけですし」
「そ、そうだけど……」
私が不満そうに言葉をにごすと、安室さんはすうっと目を細めた。
「もしかして____追いかけよう、なんて思ってませんよね?」
「だ、だって……」
「ダメですよ」
安室さんが静かに首を横にふる。
「Aさんを危険に晒すわけにはいきませんよ。その女性のことなら僕に任せてください」
紳士的なアイスグレーの瞳に、真っ正面から見つめられ、心臓の音がうるさくなってきた。
「勝手に一人で危険なことをしてはいけませんよ。
いいですね?」
目をそらしてくれない安室さん。
しぶしぶ頷くと、やっと微笑んで、よしよしと頭を撫でられた。
子供扱いされてる……。
まあでも、安室さんから見たら、私なんてただの小娘なんだろうなぁ。ショック。
「Aさん」
後ろから声が聞こえて振り返ると、すばるが小走りにやってきて、私の腕をぐいっと掴んだ。
「どこにいたんですか!? 急にいなくなっては心配するでしょう」
「ご、ごめん……」
はぁ、とため息をつき、メガネを押し上げるすばる。
「ったく……勝手に居なくなっちゃダメでしょー?」
コナン君も、ジロリと私を見上げて睨む。
「えへへ……ごめんなさい」
その時。
ウィンウィンウィンウィンウィンウィン……!!!
会場の外から、警報アラームようなけたたましい音が聞こえてきた。
警備員たちが会場から飛び出していく。
何があったのかとパニックになるお客さん達。
「な、なに!!? 何の音!?」
「警報装置のようですが」
「も、もしかして……キッドかな!?」
とコナン君。
「えっ、でもオルゴールはここに……」
「もしかしたら、オルゴールではなく、他のものが目的だったのかも」
安室さんが考え込んで言った。
「皆さまは、このままこの会場に!!
おい、今すぐ警報装置がなっている部屋へ!!」
警部の指示で、会場にいた警察官は会場を出て行く。
「僕たちも行きましょうか」
安室さんがそう言って駆け出す。遅れてなるものか、というようにコナン君とすばるも駆け出した。
「Aさんはここにいてください!」
走り去る寸前、すばるがそう言い捨てていく。
置き去りにされた私は、途方にくれてしばらく突っ立っていた。
だが、ふとあることに気がついて、舞台の奥に引っ込んでいたオルゴールの元へ忍び寄った。
464人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みー - もうすごくすごくこのお話大好きです、!!赤井さんの色々な一面これからも楽しみにしてます! (2021年8月31日 19時) (レス) id: fa7939d4a9 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 少し気になったのですが、設定のところ、工藤新一の子供化であって少子化はしてませんよ! (2020年7月27日 8時) (レス) id: 614ab4a9c9 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ44げげ『け』の鬼太郎ではなくげげ『げ』ですよ。もうなんか細かくてすみません…;;ーд#間違っていたらすみません。 失礼しました (2018年10月8日 17時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ2しんぱいせんではなくしゅうぱいせんでは…??何かのネタだったり、違っていたらすみません。 失礼しました。 (2018年10月8日 15時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 酒焼けさん» う、嬉しい…… ありがとうございます! (2018年3月28日 9時) (レス) id: 06439ad7a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海星 | 作成日時:2018年3月17日 0時