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episode15 ページ16

「ま、も、ってほしいというか……」

「なんだ?」

目を細める赤井さん。意地悪だ。すごく意地悪な感じだ。

「守ってほしくないのか?」

「いや、そ、そんなことは……」

身じろぎして、居心地悪くシートの上にでごそごそする。

「あ、赤井さん、なんか意地悪な感じだね」

「そうか?」

「あ、安室さんのことイケメンって言ったから?
ヤキモチやいてるの? 安心して。すばるもイケメンだよ。あ、違った。赤井さんだった」

言ってから、ちらりと赤井さんを横目で伺う私。
赤井さんは、軽く瞬きしただけで、特に照れ臭そうな様子もない。
くそ、これが歳上の余裕というやつなのか。

「赤井さんも……」

「ん?」

「い、いや…な、なんでもない」

慌てて目をそらし、じっと俯く。頰が少し熱い。

赤井さんは、私のこと、迷惑だって思ってたのかな。転校する時、担任の先生に言われた言葉を思い出す。

迷惑かけるなよ。

私は、やっぱり変人だからなあ。迷惑かけてるのかなあ。

私は心の中でため息をつく。赤井さんがせっかくボディガードをかって出てくれているのに、お仕事の邪魔をしていたのだろうか。

「わ、悪気があるつもりじゃないの。
迷惑かけたならごめんなさい。

ま、守ってください、赤井さん」


その時、頭にそっと温もりが触れた。
はっとして顔を上げると、赤井さんが私の頭に手を置いて、私を見下ろしている。

びっくりして思わず見返す私に、赤井さんは厳しい顔を解いて、ふっと笑った。

「守ってほしいなら、俺の言うことを聞け」

ごくん、と唾を飲み込む。

目をそらせない。
細い双眸から、淡く光る瞳が覗いている。

「わ、わかった……が、頑張る」

「頑張る、じゃダメだ。必ず言うことを聞け」

「……はい」

「よし。良い子だ」

ぽんぽん、と私の頭を叩き、エンジンを再び入れる赤井さん。

私はぱんぱんと、頰を叩く。

しっかり前を向いて、ぎゅっと手を握りしめると、

よし、もう大丈夫。

いつもの調子が戻ってきた。………はずだ。

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みー - もうすごくすごくこのお話大好きです、!!赤井さんの色々な一面これからも楽しみにしてます! (2021年8月31日 19時) (レス) id: fa7939d4a9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 少し気になったのですが、設定のところ、工藤新一の子供化であって少子化はしてませんよ! (2020年7月27日 8時) (レス) id: 614ab4a9c9 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ44げげ『け』の鬼太郎ではなくげげ『げ』ですよ。もうなんか細かくてすみません…;;ーд#間違っていたらすみません。 失礼しました (2018年10月8日 17時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ2しんぱいせんではなくしゅうぱいせんでは…??何かのネタだったり、違っていたらすみません。 失礼しました。 (2018年10月8日 15時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 酒焼けさん» う、嬉しい…… ありがとうございます! (2018年3月28日 9時) (レス) id: 06439ad7a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2018年3月17日 0時

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