聖教会編22 ページ6
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五条さんは私の腕を掴むと、「ほらほら、よく見て」と壁のそばまで引っ張っていった。私はじいっとその壁をよく見る。暗いから最初は何も分からなかったけれど、よく見ると大きな亀裂のようなものが、縦に天井まで走っている。
「これって……？」
「こうやってさ、亀裂に指を入れて横に引くと……」
五条さんが言葉通り、亀裂に指を差し込んでゆっくりと右に押し引いていく。すると地面がかすかに揺れ動いて、ゆっくりと壁が横に滑る。
これは……ドアだ。壁の中に、ドアが埋め込まれている。私が閉じ込められていた部屋の奥に、まだこんな隠し扉が隠されていたなんて。
息を飲んで五条さんを見つめる。……この人には、何が見えているのだろう。何もかも見えているのだろうか。
扉の向こうには細い通路が続いている。当然明かりなどはなく、真っ暗だ。
そしてその暗闇の奥から、あるものの気配を感じて私は思わず驚愕に目を見開いた。
「これは……呪いの、気配……⁉」
「やっぱりね。ここにいたか」
「なんで、ここに呪いが……？」
「はいはい、考えるのは後でいいから。行くよ」
「どうしよう、すごく行きたくない」
「なあに言ってんの。デートはこれからが本番でしょ。ほら、手出して」
「手？」
五条さんは私の左手をそっと握ると、指にあの銀色の指輪をはめて満足そうに笑った。
「次は外しちゃだめだよ。分かった？」
「……これ、何なんですか？」
「ん〜、だからお守り」
「誤魔化さないでください」
「ほらほら行くよ」
五条さんはコンビニに行くみたいな気楽な調子でそう言うと、私の手を引いて歩き始めた。鼻歌まで歌っていて、ため息がもれた。
私は思わず背後を振り返る。
もちろん誰もいない。さっきまでいた小部屋がどんどん遠のいていく。
思わずぎゅっと五条さんの手を握る手に力が入る。五条さんはゆったりと私と手を握っているだけだ。
でも不思議とあまり怖くなかった。
五条悟は確かに社会人失格の最悪な人間だし、精神年齢三歳児だし、セクハラもパワハラもひどいけど。
でも、最強、だ。
私は思わず微笑んだ。
お守りは結構、効いているのかもしれない。
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海星(プロフ) - 呪われし君に捧ぐ3を改めて作り直しました。よろしくお願いします。 (2022年7月1日 22時) (
レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
緋雪(プロフ) - 10点評価連打したい作品…ありがとうございます(；；) (2022年6月26日 19時) (レス) @page49 id: 3c54e1abfa (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 海星さん» 流石先生やることが違います (2022年6月21日 21時) (レス) @page44 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - あるふぁさん» ありがとうございます！！ すごく嬉しいです！ 頑張ります！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - Mamiさん» かっこいい恵書けてよかったです！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2022年6月4日 16時
