後楽園編22 ページ45
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私は、ゆっくりと目を開いた。
潤んだようにぼんやりとした景色が、じょじょに輪郭をはっきりさせ始める。
あまりにも美しい顔が、そこにあった。
いや………これは、顔、なんだろうか？
美しすぎて、寝起きの頭では人間の体の一部だとは、到底理解できない。
陶器の人形かなにか＿＿＿＿＿＿
朝の躍るような光にきらめく白髪。
光の滑り落ちる、真っ白な肌。
頬に影をつくる整った、楕円形の睫毛。
私はおそるおそる手を伸ばす。
ぺち、と冗談みたいな音がして、手が毛穴一つない頬に重なった。
私はしばらく、呆然と目の前の光景を見つめていた。
そこには、裸の五条さんがいた。
そして、私も裸だった。
素肌に触れる毛布の感覚。ああ、これは間違いなく、全裸だ。真っ裸だ。
私は考えることを放棄した頭を、必死に回転させる。だが全然うまくいかなかった。
昨日、何があったんだっけ。
いやもういい。考えたくない。これ以上、何かを分かりたくない。
このままこっそり帰ろう。
そうしよう。
全てを無かったことにするのだ。忘却のかなたへと、あらゆる真実を葬り去る。
そして新たな人生を歩む。
私に残された道は、もうそれしかない。
私は今までの人生の中で、こんなにも静かに行動したことがあるかというくらい、静かにベッドを出た。
こんなサイズ、ゴシップガールでしか見たことないってくらいドデカイ、キングサイズのベッドをそろそろと降りる。
後ろを振り返る。
五条さんは美しい寝顔を、私に向けていた。
……よし。第一関門突破。
このまま家を出る。五条さんが眠っている間に、何もかも水に流して無かったことにする。
しかし。
そこで、私は重要な事実に気がついた。
服がない。
どうしよう、とパニックになりかけるのを何とか落ち着き、広い寝室の奥のドアに向かって、ゆっくりと歩く。
ドアまでたどり着いて、ちらりと振り返った。やはり眠っている。
私はほっと息をつくと、ドアを少しだけ開けて、するっと外へ滑り出た。
寝室を出ると、モノクロに統一された、センスの良いリビングだった。室内は明るくて、奥のキッチンでケトルがかすかに湯気をたてている音がする。
部屋の中央には、革張りのソファが、低い大理石のテーブルを囲むように配置されていて、そのソファの上に、見覚えのあるカーディガンが置いてあった。
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海星(プロフ) - 呪われし君に捧ぐ3を改めて作り直しました。よろしくお願いします。 (2022年7月1日 22時) (
レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
緋雪(プロフ) - 10点評価連打したい作品…ありがとうございます(；；) (2022年6月26日 19時) (レス) @page49 id: 3c54e1abfa (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 海星さん» 流石先生やることが違います (2022年6月21日 21時) (レス) @page44 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - あるふぁさん» ありがとうございます！！ すごく嬉しいです！ 頑張ります！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - Mamiさん» かっこいい恵書けてよかったです！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2022年6月4日 16時
