後楽園編7 ページ30
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「ほら、どっちか食べたい方選ばせてあげるよ。どっちがいい？」
「いりません」
「Aのそういうとこ、ほんと可愛くなーい」
「………うるさい」
「え？」
「………あっそうですか！！！ じゃあほっといてくださいよ！！！！ 邪魔しないでください、せっかく婚約者が見つかるチャンスだったのにっ！！！！！」
思わずそこがソフトクリーム屋さん前のベンチだということも忘れて、私は怒鳴り散らした。
思いっきり叫んでから、はっと我に帰る。
一瞬、ソフトクリーム屋さんの周辺は静まり返る。行き交う人たちが、ぽかんとして私と五条さんを見つめていた。
やがて私たちに好奇の視線を注ぎながら、止まっていた人の流れは動きだした。
私は真っ赤になって顔を背けた。
……最悪。ここ最近で、一番ついてない。もうここまできたら厄日だ。
なんで私は五条さんの部下なんかになったんだろ。
羞恥と後悔で地面を睨んでいたら、五条さんが私にそっとソフトクリームを差し出した。…イチゴ味だった。
「あげる」
私は五条さんを頑なに無視する。
だけど五条さんも諦めない。そろそろソフトクリームが溶け出す頃だ。
……食べ物を無駄にするのはよくない。
私は五条さんからソフトクリームを受け取る。
念のため、きちんと言い訳はしておく。
「……食べ物に罪はないので」
「Aのそういうとこ好きだよ」
「……あなたに言われても嬉しくないです」
「へえ〜、じゃああいつに言われたら嬉しかった？」
私は溶けかけたソフトクリームを舐める。
イチゴ味のソフトは、私には甘すぎた。私は五条さんをちらりと見る。
抹茶味の方を食べている五条さん。
五条さんって、抹茶よりイチゴの方が好きだと思ってた。ポッキーもいつもイチゴ味食べてるし。…まあそんなこと、どうでもいいけど。
「そんなこと、言わなくても分かるでしょ」
「なんであいつがいいわけ？」
「……優しいから」
「まさかとは思うけどさ、親がいなくても気にしないって言われたとかじゃないよね？」
私はびっくりして五条さんを見た。
五条さんはソフトクリームの最後の一口を食べ終えて、何もかも見抜いたように微笑んでいた。
「やっぱりね。そうだと思った」
「…………違い、ます」
「そんなしょーもない物差しで、男判断しない方がいいよ？ 同じ男からのアドバイス」
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海星(プロフ) - 呪われし君に捧ぐ3を改めて作り直しました。よろしくお願いします。 (2022年7月1日 22時) (
レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
緋雪(プロフ) - 10点評価連打したい作品…ありがとうございます(；；) (2022年6月26日 19時) (レス) @page49 id: 3c54e1abfa (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 海星さん» 流石先生やることが違います (2022年6月21日 21時) (レス) @page44 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - あるふぁさん» ありがとうございます！！ すごく嬉しいです！ 頑張ります！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - Mamiさん» かっこいい恵書けてよかったです！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2022年6月4日 16時
