箸休め��-とある式神使いの放課後- ページ23
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「伊地知さん、五条先生かAさん、知りませんか？」
任務終わりの放課後のことである。
夕陽が燦燦と高専の廊下に降り注いでいた。時刻は午後五時過ぎ。高専の背後にそびえる山は、西日で赤く燃えている。
任務の報告書を出そうと五条先生を探し回って、はや三十分。
廊下の自販機前で伊地知さんとすれ違った俺は、報告書を見せて伊地知さんに尋ねた。
「報告書、出したいんですけど、見つからなくて」
「伏黒さん、お疲れ様です。池袋の任務の件ですね。
五条さんならさっき、書庫に行くとおっしゃられてましたよ。津科さんとご一緒だったので、お二人ともそちらにいらっしゃると思いますが…」
コーヒーを片手に親切に教えてくれる伊地知さん。
目の下にはすごいクマができている。
…お疲れ様です。
俺は心の中で手を合わせてから、伊地知さんにお礼を言うと、書庫に向かって早足で歩き出した。
今日は虎杖と釘崎と、外で飯でも食おうと約束しているのだ。多分今頃、釘崎が痺れを切らして虎杖に八つ当たりしているだろうな。
ごめん、虎杖。
俺は虎杖にも、心の中で手を合わせておく。
秋の訪れを感じさせるひんやりとした風が、廊下を吹き抜けていた。
高専の西側にある連絡通路を渡り、古びた板張りの廊下をまっすぐ進めば、もうそこが書庫室だ。
書庫室の扉は空いていて、薄い光が漏れていた。
俺は部屋の中を覗き込む。
その時のことを、俺は後から思い出そうとしても、よく思い出せない。
ただ一つ言えること。
それは、ずっと
書庫室の棚の前に、Aさんが立っている。
ソファに寝そべっている五条さんと、何事か喋っているようだ。
だが何を喋っているのか、十分聞こえる距離のはずなのに、俺はまるで聞こえなかった。
まるで水の底にいるみたいに、全ての音が遠のいていた。
Aさんの、よく手入れされた髪の毛が、肩から流れるように滑り落ちる。陽の光に染まりながら。
夕陽の逆光で、表情は見えない。
ただその髪の毛に落ちる夕陽が、まるで万華鏡のようにくるくると模様を変えながら、Aさんの後ろ姿を包み込んでいく。
俺はただ、その光景をじっと見つめていた。
あ、また髪の毛がはらりと落ちた。
まるで少し早く散り始めた、美しい紅葉のように。
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海星(プロフ) - 呪われし君に捧ぐ3を改めて作り直しました。よろしくお願いします。 (2022年7月1日 22時) (
レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
緋雪(プロフ) - 10点評価連打したい作品…ありがとうございます(；；) (2022年6月26日 19時) (レス) @page49 id: 3c54e1abfa (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 海星さん» 流石先生やることが違います (2022年6月21日 21時) (レス) @page44 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - あるふぁさん» ありがとうございます！！ すごく嬉しいです！ 頑張ります！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - Mamiさん» かっこいい恵書けてよかったです！ (2022年6月20日 10時) (レス) id: 1b892b7b06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2022年6月4日 16時
