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「ふ、ふざけないでっ」
「ふざける? 何をふざけるんだよ。あ、お前は念願の警官にはなれないもんな。俺はお前が何しようが全然興味ねえんだけど。親父はあれでも結構、亭主関白でさ。女は家庭に入れって、うるせーのよ」
「わたしはアンタとは結婚しない」
「誰もてめえの意見なんて聞いてないっつの。これは決定事項なんだよ、諦めろ。
大人しく俺の言うこと聞いてれば、悪いようにはしねえって。ちゃんと優しくしてやるよ。
あ、でも浮気はさせてくれよな。お前みたいな貧相なブス、絶対抱けないからさ」
わたしはその瞬間、七条の頬を平手打ちした。
屈辱と怒りで、頭がどうにかなりそうだった。許さない。絶対、こいつだけは……。やっぱりこいつは最低だ。何も変わらない。
「……いてーよ」
七条が赤くなった頬を苦笑いを浮かべて、さする。
そして、ぶるぶると震えているわたしの顔を、いきなり片手で鷲掴みにした。
「いっ……」
「旦那さんに対する礼儀作法がなってないんじゃねーの、Aチャン」
そのまま地面に思いっきり叩きつけられるように、投げ飛ばされる。
とっさに頭をかばったけど、手足は擦れて血が滲んだ。白いワンピースは土で汚れて、無残な有様だった。
起き上がることもできずに震えていたら、七条がわたしの髪の毛をつかんで、ぐいっと上に向かせた。
「……次、あんな真似してみろ。殺すからな」
____お前はどうしたいの? お前の気持ちはどこにあるわけ?
ぎゅっと目をつぶる。殺すといった七条の目は、狂気じみていて、嘘だとは思えなかった。
わたしは……、わたしは、みんなのところへ帰りたい。もう嫌だ。七条と結婚なんて、死んでもしたくない。
だけど……。
怖い。
目の前の七条が、どうしようもなく、恐ろしかった。恐怖と絶望で、何も言えなくなったわたしを、七条が無理やり抱き起した。
「ったく、ダメじゃないですかAさん。足元には注意してくださいってあれほど言ったでしょう。またこけると危ないですから、部屋にあがってお茶でも飲みましょうか。
あ、でもその前にその服は着替えないとね。汚れてしまいましたから」
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ゆーーさく(プロフ) - やばい…天才だ! (9月28日 17時) (レス) @page31 id: f449807f37 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 一気読みしてたらすごく時間がたってた! (2023年4月9日 0時) (レス) @page31 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
白銀(プロフ) - 初めまして。今更ながら感想を伝えたくて…。ほんとに読んでいてとても幸せになりました!!このような作品を書いて下さりありがとうございました!!! (2022年6月14日 21時) (レス) id: 023af107f4 (このIDを非表示/違反報告)
はわわ - わはー泣いちゃいましたヨヨヨ (2022年5月17日 11時) (レス) @page31 id: 7f8b0d6085 (このIDを非表示/違反報告)
花奈(プロフ) - はじめまして!!とても素敵な作品で毎回ドキドキハラハラ、泣いたり笑ったりしながら読ませていただきました!!もし、可能なら松田くんと諸伏くんの付き合ったあとのafterstoryみたいなの見たいなって思います! (2022年4月18日 21時) (レス) id: 51c3fefc5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2020年5月29日 17時