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「わたしは駒沢A。よろしくね」

 Aちゃんか、と諸伏くんが呟く。

「なんか響きが素敵でいい名前だね」

「そう?」

「俺は好きだな」

「あ、ありがとう」

 にっこりと爽やかに微笑まれ、またしても腰がひける。男の人と喋り慣れていないのだから仕方ない。

「諸伏って珍しい名前だよね」

「うん、よく言われる」

「どんな字書くの?」

 諸伏くんは、入学式の時に配られていたスケジュール表の裏に、「諸伏」と漢字で書いてくれた。止め跳ね払いのしっかりした、まるで教科書に載るような綺麗な字だ。書道でも習っていたのかもしれない。

「へええ……なんか戦国武将みたい。かっこいいね」

「ははは。ありがとう。俺もAって名前、すげえ可愛いと思うよ」

 えっ、と思わず声を漏らすと、さすがに失言だったと気がついたのか、「い、いや、そんな変な意味じゃなくてっ…!」と焦り出す諸伏くん。

 ちょっと天然な人なのかもしれない。


「ううん、いいよ。仲良くしてね」

 勇気を振り絞ってやっとそれだけ言えた。
 諸伏くんは、もちろんとにっこり笑う。その時、どん、と机をたたく音がした。
 いきなりのことで、ひ、と声が漏れる。諸伏くんは大して驚きもせずに、彼の机を殴った人物を、笑いながら見上げた。

「よう零……どうした?」

 零と呼ばれたその人物を見て、思わず息をのむ。
 世界に、こんなに綺麗な子がいたんだ、と思うほど美しい青年だった。金髪というには淡すぎる色の、まるで甘いミルクティーのような髪の毛に、冴えるようなターコイズブルーの瞳。異国の血を感じさせる褐色の肌と、細く繊細な長い睫毛。
 ため息がもれそうだ。
 神様はずいぶん力入れてこの子を作ったんだろうな……。

 まるで彫刻のような美しさをまとっている青年は、しかし、その美貌を持て余しているような、少し擦れた目をしている。

「……暴力事件にかかわってるような奴と、あんまりベラベラ喋るなよ、ヒロ」

 わたしを一瞥し、諸伏くんにそう告げる。

 暴力事件にかかわってる? わたしが?

「これは変な奴に因縁つけられて……」

 思わず抗議すると、ふん、と軽蔑したような瞳を向けられる。

「もう噂になってるけど? 駒沢だろ? 入学式前日に男と殴り合ったとか」

「……何よそれ」

 唇を噛みしめたわたしに、「零、よせよ」と諸伏くんが注意する。

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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
- あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
- そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
- 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時

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