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「そ、そうだね」

 萩原くんがしばらく考え込むように、手を顎に当てる。しかしすぐ、「よしわかった」と妙に明るい声で言った。

「俺たちで手当てしちゃおっか?」

「え……?」

 思いもよらぬ萩原くんの言葉に、ポカンと口をあける。
 萩原くんはわたしの隣に、さも当然というように腰かけると、にっこりと笑った。

「だってこのままいつ帰ってくるかわからない保健医待ってたら、一限目の座学間に合わないよ? 今すぐ手当して戻れば、十分くらいの遅刻で済むんじゃない?」

 初日から欠席はまずいでしょ、と言う萩原くんに、

「そうだけど……」と口ごもる。

「だけど?」

「いやだって……」

 怪我をしている箇所が、腕や足なら問題ない。でも打ち身になっている部分は乳房のまわりだ。萩原くんに見せられるはずもない。
 わたしは額に汗が浮くのを感じた。

「だって、なに?」

 ずい、と萩原くんが顔を近づける。思わず少し体を退いた。

「……む、胸だから」

 怪我してるとこ、と言って、おそるおそる萩原くんを見る。察してくれると思ったのに、萩原くんは顔色一つ変えずに「そっか」とうなずいた。

「え、あ、あの……」

「多少恥ずかしいかもしれないけど、すぐ終わるし大丈夫だよ。それよりそんなに痛むなら、早く冷やした方がいい」

 え、多少どころじゃないよ。
 そう心の中で激しくつっこんだが、萩原くんはさっさと立ち上がって、冷やすための氷が入ったビニール袋と湿布をもってやって来た。

「は、萩原くん」

「ボタン開けるよ」

 真っ青になっているわたしをよそに、あっさりそう言い捨てて、制服のシャツのボタンをプチプチと外していく。
 青ざめていた顔が、今度は熱で真っ赤に染まるのを感じた。
 ボタンを外すたび触れる萩原くんの指先や、肌に直接かする暖かい息に、思わずぴくっと腰が震える。
 萩原くんはさっさとシャツのボタンを外していく。

「ちょ、ちょっと萩原くん」

「どっちの胸?」

「へ?」

「打ったの、どっちの胸?」

「み、右……」

「どこら辺? 中央? 端?」

「は、はし……」

「外側? それとも谷間のとこ?」

 た、たにま?
 谷間なんか、わたしにはないよ、萩原くん……。
 茫然自失しながら、「内側のはしっこ、のほう……」と打った場所を指で指示して、なんとか答える。

「じゃあブラだけ外すね。シャツは脱がさないから」
 とだけ言って、萩原くんはさっと片手でブラのホックを外した。

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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
- あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
- そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
- 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時

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