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「ぎゃあぎゃあうるせえんだよクソ女。てめえに関係ねえっつってんだろ！」
唐突に手が伸びてきて、がしっと胸倉をつかまれた。そのまま固く握りこまれた拳が頬を抉る。おばあさんが悲鳴をあげ、わたしは殴られた衝撃で背後にふっとんだ。
「死ね、死ね、死ね」
狂ったように叫んで、男がわたしに馬乗りになる。
「やめて！ はなして！」
やばい。完全にイカれてる、こいつ。
殺されるかも。
そんな縁起でもない考えが、頭をよぎった。振り上げられた拳の向こうで、幻のように綺麗な桜がヒラリと風に舞う。
ぎゅっと目をつむった。しかし、いつまでたっても予想していた痛みは訪れない。
それどころか、腕をつかまれてぐいっと前に引っ張られた。
「おーい、大丈夫？」
声のする方へ、やわやわと瞼をひらく。
大きな目がわたしをのぞき込んでいた。垂れた目尻が気弱というより掴みどころのない感じだ。
肩に少しかかるくらいの黒い長髪が桜の花弁と同じように、風に煽られて靡いている。ふわっとシャンプーとコロンの甘い香りがした。ずいぶん整った甘いマスクに、触れそうなほど近い距離もあいまって、なんだか少し頭がくらっとする。
「あれ、意識ある？ おーい、聞こえてますか、オネーサン」
「おい萩原。警察に連絡しろ。こいつのびちまったから、交番まで運べねえ」
頭上から低い声が降ってきた。
見上げると、サングラスをかけた、ボサボサ髪の背の高い男が、さきほどわたしを殴り飛ばした男を組み伏せて、不機嫌そうに萩原という長髪の男を睨んでいる。
萩原さんは途端に眉をだらしなく下げて、文句を言うようにサングラスの男性に唇をとがらせた。
「ええ、なんで気絶させるんだよ。これ絶対間に合わないよ、寮の受け付けあと三十分で終わっちゃうのに」
「知るか。勝手に気絶しちまったんだよ。つうか誰のせいで遅刻してると思ってんだ？ てめえが一時間も起きるのが遅かったせいだろうが」
「それを言うなら松田だって目覚ましセットし忘れてたじゃん」
「俺はちゃんと時間通りに起きた」
「言い訳ずりぃ」
「あ？」
ぎゃいぎゃいと言い合いを始めた目の前の青年たちを、呆気にとられて見つめていたが、わたしははっと我に返ってそろそろと頭をさげた。
「あ、ありがとうございます……助けていただいて」
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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています！続きがくるのを楽しみにして待ってます！ (2020年3月27日 20時) (
レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか？ (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
桜 - そうだったのですか…。安心いたしました！テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません！ (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか？とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年11月9日 13時
