18 ページ19
.
背中ごしに、萩原くんの体温と湿った吐息をひしひしと感じた。またあの甘いコロンの香りがして、鼓動が少し早くなる。
「痛くない？」
「え、うん、平気だよ」
「じゃあ次、こっちね」
萩原くんが右肩をぐいっと押す。
「ここは？」
「うん、大丈夫だよ」
「気持ちいい？」
「え？ あ、うん。もうちょっと強くてもいいよ」
「ナルホド。もっと激しい方が好き？」
「は、はげ……？ あっ、いたっ…」
「あ、ごめんごめん。ここは？ いい？」
「うん、いいよ」
そんなやり取りをしていたら、食い入るような視線を感じて、頭だけ上げる。
すると目の前で柔軟していた松田くんや伊達くん、零くんや諸伏くんがこちらをじっと凝視していた。
「え、どうしたの？」
わたしがぽかんとして尋ねると、なぜか零くんが軽蔑したようなまなざしを向けてくる。わたしはまだ、零くんに信用されていないらしい。
「……いやお前ら何やってんの」
松田くんが、何故だか妙に怖い声を出す。
「え？ 体操だけど？」
「……その妙な掛け合いやめろ」
「かけあい？」
はああ、と松田くんが脱力したような声を出し、途方に暮れて諸伏くんに助けを求めようと彼を見つめたら、なぜだか顔を赤らめてさっと視線をそらされる。
「萩原、お前わざとだろ」
「えー、何のこと？」
「すっとぼけやがって。イリゴマを選んだのはこういうわけか」
「だから何のことだよ、松田」
「こういうわけってなに？」
松田くんの言葉が気にかかって聞き返すが、萩原くんがぐっと身を乗り出して、会話を遮る。
「はいはい、Aちゃん。次いこーね。左押すよ？」
「あ、うん……よろしく」
「おい、萩原。逃げてんじゃねえ」
「Aちゃん、ここ、どう？ 気持ちいい？」
「う、うん……気持ちいいよ」
「はぎわらぁ？」
「もっと激しくしてもいい？」
「え？ 激しい？ 強くってこと？ ちょっと痛いんだけど……」
「あ、ごめんごめん…優しくするね」
「うん。あ、それくらいの方が」
「すき？」
「うん……いい」
「おい、お前らマジでいい加減にしろ！！」
なぜだか松田くんと零くんと諸伏くんが、同時にこちらを向いて怒鳴った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 938人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています！続きがくるのを楽しみにして待ってます！ (2020年3月27日 20時) (
レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか？ (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
桜 - そうだったのですか…。安心いたしました！テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません！ (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか？とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海星
| 作成日時：2019年11月9日 13時
