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「知るかよ。俺には関係ない」

 無表情で言い捨てて、トレーを手に持つと、さっさと列に並びに行ってしまう零くん。
 諸伏くんは途方にくれたようにわたしを眺めていたが、わたしが息を止めて涙を我慢しようとしているのに気が付くと、「こっちおいで」とわたしの手を引っ張って、食堂の隅に連れ出してくれた。

「あー、ハンカチ持ってたかなあ」

 ごそごそとポケットを探る諸伏くん。なかなか見つからずに、ここでもないあそこでもないと慌てている諸伏くんに、なんだか申し訳なくなってくる。

「いいよ……平気、ごめん」

 困らせていると気が付いて、わたしはできるだけ笑顔を浮かべて謝った。しかし諸伏くんはわたしの顔を見るなり、怒ったような声で言った。

「平気とか嘘つくなよ。あんなひでえこと言われて傷つかない女の子いないだろ」

「いや、ゾンビは言われ慣れてるから……」

「え?」

 松田くんに、と付け足すのを忘れたが、まあどうせ言っても諸伏くんは松田くんのこと知らないだろうし。
 それになんだろう。松田くんにゾンビって言われたときは、単純に松田くんへの怒りしか湧いてこなかったのに、あの男に言われたときは、怒りより先に羞恥と屈辱が胸を襲った。
 不思議なことだ。

 考え込んでいるわたしに、諸伏くんは明らかに同情するような視線を投げかけ、そしてまた顔に怒りを浮かべる。

「女の子にそんなこと言うやつ、最低だな」

「諸伏くんみたいに、みんなが紳士じゃないんだよ……」

「大丈夫、Aちゃん可愛いよ」

 諸伏くんはあっさりそんなことを言って、やっと見つけ出したらしいハンカチでわたしの目元をぬぐった。
 少し皴のついた布のハンカチは、諸伏くんのポケットの中にずっと押し込められていたせいか、少し暖かい。
 やっぱ諸伏くんってちょっと天然なのかな。ふつう、会ってまだ間もない女の子に可愛いなんて言うだろうか。
 それともものすごく優しい人で、やっぱりゾンビって言われて落ち込んでいるわたしを元気づけようとしてくれているんだろうか。

「ありがと……うれしい」

「え、あ、う、うん……」

 照れたように頬をかく諸伏くんに、またなぜかぽろぽろと涙がこぼれてきた。
 諸伏くんがさっと顔を青くする。

「Aちゃんっ……」

「ご、ごっ、めん……な、みだ…と、とまんな、くて…」




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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
- あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
- そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
- 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時

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