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「……っ」

 諸伏くんの言葉に、零くんが息を飲む。
 わたしはどうすればいいのか分からなくて、とっさに萩原くんのジャージの袖口をつかんでしまった。

「零」

 諸伏くんの声は、他人のように冷たく厳しかった。
 零くんが焦ったように視線をさまよわせる。

「謝るんだ、これはおまえが悪い」

 零くんがしぶしぶという感じで、わたしを見る。

「……ごめん」

 ぼそっと呟かれた言葉に、謝られたのだと数秒して理解した。

「だって。どうする、Aちゃん」

 萩原くんが、わたしを悪戯っぽく見つめる。

「俺からも謝る。零が傷つけるようなこと言って悪かった。ほんとにごめん」

 諸伏くんはすっと頭をさげた。

「まだ謝罪が足りないっていうなら、第二戦初めてもいいけど?」

 萩原くんの言葉に「はあ?」と素っ頓狂な声がもれる。

「だ、だめだよ! いや、こっちこそ急に呼び捨てにしてごめん……これからは降谷くんって呼ぶから……」

 もともと「零くん」って呼んでいたのも、出会ったときに諸伏くんが「零」としか呼んでいなかったせいで、名字が分からなかったからだ。特に深い意味はないのだし、わたしとしては「零くん」だろうが、「降谷くん」であろうが、正直どちらでもいい。

 そう思って、零くん、いや降谷くんにそう謝れば、途端に松田くんがまた目を尖らせる。

「別に人をなんて呼ぼうがてめえの勝手だ、イリゴマ。零でも、チワワでも、ゴリラでも好きに呼べよ」

「なんだと。おまえ、ほんと失礼だよな」

「あ? 失礼なのはおまえだ降谷。ゴマのこと散々泣かせやがって」

 またぎゃいぎゃい言い合いをし始めた二人を横目に、「いや松田くん、きみも大概失礼だよ」と心の中で呟いた。

「てかさ、女の子に名前で呼ばれたくないなんて、零くんもしかしてシャイボーイなのぉ?」

 萩原くんがまた、降谷くんを煽るようなことを言い出した。

「うるさいな、ほっとけよ」

「俺のことはいつでも研二くんって呼んでくれていいからね」

 萩原くんが、わたしの顔を見て爽やかな笑みを浮かべる。

「う、うん……」

「おい、お前ら」

 わたしが苦笑いしてうなずいていると、背後にたたずんでいた教官が、声を震わしてそういった。
 はっとした顔をする面々。
 わたしは思わず萩原くんの後ろに隠れる。

「……松田、降谷、諸伏。お前ら三人とも、罰として校庭三十周だ」


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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
- あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
- そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
- 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時

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