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 ほかのみんなはポカンとしたまま、その光景を見守っている。
 ちょうど大きなクスノキが、陰になっている場所に座らされたわたしは、見下ろしてくる零くんに、おそるおそる頭をさげた。

「れ、零くん……あ、ありがとう」

 零くんは、べつに、と素っ気なく呟く。二つの青い目が、じろじろとわたしを無遠慮に眺める。そして冷たく言った。

「それより松田の言う通り、警察官やめた方がいいんじゃないの? おまえみたいなやつがいたら、みんなが危険に晒されて迷惑するだろ」

「………」

 みんなが迷惑する、と言われ言葉も出なかった。
 黙り込んだわたしに、零くんはとどめの一撃とばかりに、吐き捨てた。

「あとさ、俺のことを気安く名前で呼ぶなよ」

 ごめん、と小さく謝る。
 零くんはそれには答えずに、さっさとみんなの居る場所に戻っていく。
 わたしはじわっと涙がにじむのを感じた。

 わたしって案外、泣き虫なのかも。十九にもなって、こんなことで泣くなんて、どうかしている。
 だけど、どうしてあんなひどいことばかり言われなければならないのだろう。わたしは零くんに何かしたというのだろうか。

 もう噂になってるから。

 零くんの声が、再び脳裏に響く。
 ちがう、ちがうのに。
 わたしは悪くないのに。
 それともやっぱり、ぜんぶ、わたしのせいなんだろうか。

 うつむいて、みんなの方に背を向けていたら、背後からバタバタと足音がした。

「イリゴマぁ、大丈夫か?」

「Aちゃん、俺のジャージ貸してあげるから、枕にして横になってなよ」

 松田くんと萩原くんだ。見なくてもわかる。
 泣いていることがばれたら面倒くさい。わたしはごしごしと目をこすったが、涙はとまらなかった。

「おい、ゴマ、聞いてんのか」

「Aちゃん?」

 二人が背中を向けているわたしに、不審そうに近寄ってくる。そろってしゃがみこんで、わたしをのぞき込もうとした。

「おい、なんで顔隠してんだ」

「……なんでもない」

「気分悪いの? あ、吐きそう?」

「……へいき。大丈夫だから」

「じゃあ顔見せろよ」

 松田くんがわたしの腕をつかんで、ぐいっと引っ張る。いやいやと抵抗したが、松田くんの馬鹿力にかなうはずもない。
 そのまま顔をのぞき込まれて、わたしはさっと青ざめるのを感じた。

「おい……なんで泣いてんだ、おまえ」

 松田くんの声音が変わった。



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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
- あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
- そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
- 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時

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