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赤井side
なぜその日にかぎって、俺は普段起きる時間の一時間も前に目覚めたのか、随分後になってからも分からなかった。
とにかく俺は、何かに揺り起こされるように妙な胸騒ぎに目を覚ました。
朝日が工藤邸を照らしている。俺のためにあてがわれた部屋もいつもと変わらず、ホテルのように豪華だった。
手元のスマホを見ると朝の6時半。
普段俺が起きるのは7時半過ぎなので、だいぶ早い目覚めだった。
しかし何故か二度寝する気にもなれず、俺は仕方なく起き上がって、手早く用意を済ませると一階のリビングに向かうため、廊下に出た。
そこでふと、廊下の奥からかすかに風が吹き込んでくるのを感じて、立ち止まる。
廊下にはアーチ型の窓が並んでいるが、どれもしっかり鍵がかかっている。
風が入り込む隙間はない。
気のせい、か………？
しかし俺は、その時、本当に奇妙なことなのだが＿＿＿＿＿＿＿
ゆっくりと何かに導かれるようにして、風の音のする方へ足を進めた。
心臓が早鐘のようになり出し、顔が強張るのを感じた。
風が吹き込んでくる方は………Aの部屋だ。
Aの部屋は廊下の奥にある。
じょじょに部屋に近くにつれ、俺はさらに胸騒ぎが激しくなるのを感じた。
Aの部屋の扉は、数センチほど外側に開いていた。
そのせいで、風が廊下にも漏れ出ていたらしい。
どうしてドアが開いているのだろう？
Aはいつも寝る時、必ずドアを閉めていた。……いや、ほとんどの人間なら、真夏でもない限り、寝室のドアを開けっぱなしにして寝たりはしないだろう。
閉め忘れたのか……？
しかし疑問とは反対に、几帳面なAがそんなことをするはずかない、と思う自分もいる。
扉の前に立つと、確かにドアの隙間から冷たい朝の風が吹き込んでくるのを感じた。
そっとドアノブに手をかける。
許可がないかぎり、お互いの寝室には踏み込まない＿＿＿＿＿＿＿それは、この屋敷に来た時、Aと初めて交わした約束の一つだった。
「A………？」
そのとき＿＿＿＿＿＿＿＿
本当に、そのとき、なぜ俺はAの名前を呼んだ後、あんな言葉を続けたのだろう？
俺は、まるで、Aがその部屋からいなくなってしまったかのように思ったのだ。
「A……？ いるのか…？」
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やっち(プロフ) - 凄くいいお話でした。ありがとうございます (2022年9月11日 12時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
アラバ - もう……なんかもう…………………やばかったですほんとに…………このお話思いついて、それを文章に現せるのが尊敬です………………もうなんか、やりきれない思いとか、最後までぐっっと涙をこらえていないと見れない作品でした……………小説、お疲れ様でした(泣)！！ (2021年5月16日 1時) (レス) id: bed3b6d329 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 凄く泣けました!赤井さんや降谷さんとの絡みもとても素晴らしく主人公の設定もちゃんとしていて、なんかこう!言葉に表せないぐらい感動しました！！！！！！ (2021年5月6日 12時) (レス) id: 8b38c910a7 (このIDを非表示/違反報告)
寝子(プロフ) - やはり神作品…何度読んでも泣いてしまうんです。責任とってください…！（謎） (2020年10月10日 7時) (レス) id: 7be43a5c44 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんでライム(プロフ) - めちゃくちゃに泣きました。二次創作ものでここまで感動したのは久しぶりです。一つの作品としてめちゃくちゃ楽しめました。作者様、ありがとうございました。 (2020年7月7日 23時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年11月4日 14時
