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「新一！ もう起きろよ、朝だぞ」
目覚ましが鳴りっぱなしになっているのを止めて、弟をベッドから引きずりおろす。
さみぃー！！！ と叫び声をあげる新一を無視して、俺は布団を綺麗に畳む。
巷ではイケメン高校生名探偵などと言われていても、家の中ではまたまだ子供である。
9歳も離れていれば、高校2年という可愛げのない年齢に達した弟でも可愛く思うもので、俺ははやもう26歳。
そろそろアラサー……四捨五入したら30。つらい。
若々しい新一は、朝が弱い。
仕方なく手を差し出すと、よろよろと起き上がった。
母の血を色濃く継いでいる弟は、俺よりもさらに華奢な体型をしている。
顔のイケメンさとも相まって、我が弟ながら寝起きも美少年だなと思う。
かくいう俺も、ベイビーだった頃は可愛い可愛いともてはやされたのだが、こんなおじさんになってからは、そんなことを言われるはずもなく。
まあ年齢しては年若く見られるのだが、それは多分新一に似たこの華奢な体格のせいなのだろう。
筋トレしてもいっこうにムキムキにならないのは、ひそかなコンプレックスだったりするのだ。
「早く朝ごはん食べないと遅刻するぞ」
「わーってるよ」
めんどくさそうに俺を見る新一。
しかし俺の作った弁当をしっかりバッグに入れてくれるあたり、まだまだ可愛いなと思う。
そんなことを思いながら、俺もコーヒーを飲んでいたら、新一が聞き捨てならないことを言い出した。
「明日、蘭とトロピカルランド行ってくるから。明日は夕飯いらねえ」
「……っ！！！」
トロピカルランド！？
あやうくコーヒーを吹き出すところだった。
目を丸くして黙り込んだ俺を、目ざとく新一が見つける。
「なんだよ。どうかしたの？」
「え、い、いや……トロピカルランド、ね。蘭ちゃんと」
………とうとう来たか。
つまり、ここから始まるわけだ。黒の組織との壮絶な戦いが。
俺は冷静にコーヒーを飲みながら、まだ怪しげに俺をじろじろ見つめている弟の頭をよしよしと撫でる。
嫌そうに俺の手を払う新一。顔が赤いことにはツッコまないでおこう。
まあいつかは来るだろうと覚悟していた。
そのために、それなりに注意深く、弟を見守ってきたつもりでもある。
本当はトロピカルランドに行くのはやめてほしいが、そんなことを俺が言っても聞かないだろう。こいつ案外頑固だからな……
「いいか新一。くれぐれも自分勝手な行動はするなよ」
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サヤ(プロフ) - 読み始めたばかりですが、面白いです！ でも気になるのが原作では38だったので主人公の年齢と釣り合ってないのが気になります……。 (2020年6月11日 10時) (
レス) id: d5b4d3cb80 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - RE MIさん» わわわ！！ 耐えられないくらい嬉しいです！！ ありがとうございます！！ (2019年10月18日 0時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
RE MI(プロフ) - 耐えられないくらいこの小説すきぃ (2019年10月17日 23時) (レス) id: d7e1eef818 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 明里香さん» 毎度毎度すみません！ お恥ずかしい……いつもコメントありがとうございます！ (2019年10月17日 20時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 43話に誤字がありました。「彼女と一瞬なんです」ではなく、「彼女と一緒なんです」です。 (2019年10月17日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年10月10日 22時
