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"例の作戦" から数日後。
俺は在宅ライターの仕事の件で、駅前の喫茶店に依頼人とやってきていた。
向かい合って座り、原稿の直しや追加の注文などを話し合っていると、ガシャン、とガラス瓶が割れる音がした。思わず振り向くと、喫茶店の奥で太って脂ののった男が、その毛深い手を振り上げて、目の前に座っている少女を殴り飛ばしたらしい。
少女の持っていたジュースの瓶が床に飛び散って割れ、悲鳴が上がった。
オレンジジュースの甘い香りが、むせかえるようにたちこめる。
俺の目の前に座っていた依頼主は、唖然としたように、目の前の光景を見つめていた。
「ばかやろう！！ 食事中に喋るなって何回言えば分かるんだ！！ このクソノロが！！」
男に怒鳴られて、少女はごめんなさい、ごめんなさいと繰り返す。
どうやらその少女の父親らしい男は、さらに少女を殴ろうとするように手を振り上げる。
体が勝手に動いた。
俺はとっさに少女を庇って、男に殴られる。
凄まじい力で床に叩きつけられ、頭がチカチカした。
「工藤さん！！」
依頼人が慌てて駆け寄ってくる。
俺はよろよろと起き上がり、目の前で意表をつかれたような顔をしている男を睨みつけた。
「……虐待っすよ」
「あ？」
「児童虐待っすよ」
ざわざわと周りを取り囲む人々の声に、俺はひそかに苛立っていた。
好奇の視線を浴びせるだけで、ほとんどの人間は助けようとはしない。
そして可哀想だね、なんて知ったように言うのである。
………俺は、見て見ぬ振りなんてできない。
俺はぎり、と奥歯を噛み締める。
「にいちゃんに関係ねーだろ」
「関係あります。俺も虐待されてたんで」
「虐待じゃねえよ！ 言いがかりつけやがって！ これは教育だ！」
「暴力が教育だと！？ ふざけるな！！ 暴力はなぁ、教育とは最も真逆にあるもんなんだよ！！」
俺も負けじと怒鳴り返す。
俺の手の中でぶるぶると震えている少女を、離すまいとぎゅっと抱きしめる。
「どけ！ 俺の娘から手をはなせ！」
「何が娘だ！ お前なんか親じゃねえ」
「なんだと！！」
拳をふりあげる男。
俺は咄嗟に顔をそらし、少女を庇う。
しかし、いくら待っても予想した頭はおとずれなかった。
おそるおそる目を開け、はっと目を見張る。
男の拳を捻り上げて、目もくらむような金髪の美女が一人、俺の目の前に立っていた。
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海星(プロフ) - カラ松ガールさん» ありがとうございますっ…！ めちゃくちゃ嬉しいです！！ 頑張ります！ (2019年10月31日 7時) (
レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 前回からここまで一気読みしました！神ってました！大好きです！ (2019年10月30日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 74話に誤字がありました。「有紀子」ではなく、「有希子」です。 (2019年10月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 架印�靴気�» わわわ！ ほんとですね！ お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございますっ！ (2019年10月26日 10時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 66話：「このタケシード姿、なかなかいいな」の所…。“タキシード”が“タケシード”になってますよ。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年10月18日 9時
