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ここの屋敷の電話番号を知っている人間はそう多くないはずだ。
俺は固定電話をそっと取り上げる。
その瞬間、ずいぶん可愛らしい女性の元気な声が、耳元で爆発するかのように流れ出した。
「Aちゃーん！！！ ママですよお！」
「……有希子さんですか。ご無沙汰しております、赤井です」
軽く咳払いして俺が返事すると、電話の向こうがしばし沈黙した。やがて向こうからも軽く咳払いする音がした。
「あ、あらやだ……秀ちゃんだったの！ そうならそうと言ってよもう！ ど、どうしようかしら……わたしったら秀ちゃんの前で恥ずかしいことを……」
「お気になさらず。大丈夫ですよ」
俺はできるだけ優しく聞こえるように返事した。そのとたん、きゃー！ という悲鳴が聞こえる。
「そんな優しい声で囁かないでっ……ほんとに好きになっちゃう……え、優作さん？ どうしたの？………いやねえ冗談よ！ わたしはもちろん世界で一番優作さんが……」
………頭が痛くなってきた。俺の存在を完璧に忘れ、バカップルのような会話を繰り広げている工藤夫妻に、俺はまた軽い咳払いをする。再び電話の向こう側で沈黙が舞いおりた。
「……ほんとにごめんなさい」
「それはいいんですが。なにか用事があったのでは？」
やっと本題に入れるらしい。俺が尋ねると、そうなのよ、と有希子の声が少し真剣になった。
「ほんとは新……コナン君に連絡しようと思ってたんだけど、電話に出なかったのよ。だから直接秀ちゃんにかけようと思ってね」
「Aのことですか？」
俺とボウヤが最近夫妻に関して話し合ったことといえば、Aの不可解な例の手紙のことしかない。ボウヤが夫妻に聞いてみると言っていたはずだった。
有希子がうふふ、と笑う。
「さすが。よくわかるのね。コナン君から聞いたわ。妙な手紙ですってね」
「ええ、そうなんです」
「わたしとしては、母親なんだし直接Aちゃんに聞いてもいいんだけどね。でも秀ちゃんが電話に出たってことは、今は家にいないのかしら？」
「仕事で外へ……」
「そうなのね。いいわ。優作にそのこと相談したら、書斎のシャーロックホームズ全集がある棚の奥を調べてみなさいって。子供のころから、Aはよくそこに大事なものを隠す癖があるからって」
「それは……なるほど。やってみます」
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海星(プロフ) - カラ松ガールさん» ありがとうございますっ…！ めちゃくちゃ嬉しいです！！ 頑張ります！ (2019年10月31日 7時) (
レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 前回からここまで一気読みしました！神ってました！大好きです！ (2019年10月30日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 74話に誤字がありました。「有紀子」ではなく、「有希子」です。 (2019年10月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 架印�靴気�» わわわ！ ほんとですね！ お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございますっ！ (2019年10月26日 10時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 66話：「このタケシード姿、なかなかいいな」の所…。“タキシード”が“タケシード”になってますよ。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年10月18日 9時
