episode111 ページ21
「……そいつがこれをお前によこしたのか?」
「う、うん…」
「shit.......!!!!」
赤井さんが舌打ちして吐き捨てたので、またビクッと震える。
赤井さんってこんな感情むき出しにする人だったっけ…? 鉄面皮で表情筋死んでると思ってたのに。
赤井さんは厳しい目をして、頭のてっぺんからつま先まで、私をじっと観察するように眺めた。
そんなに見られると普通に恥ずかしい。わたしは思わず赤くなってうつむく。
すると赤井さんが、
「oh.....god」
と首を振って、顔を背けた。……なんだというのだ。
「とりあえずそのドレスはやめろ。目立ちすぎる」
赤井さんは勝手に私のクローゼットを開けて(犯罪だろこれ)、中から適当って感じでワンピースを引っ張り出してくる。
「これにしろ」
膝丈まであるシフォンの白いワンピースだ。袖に軽くフリルがついている以外は、特徴もないシンプルなデザイン。……これも赤井さんが買ってきたやつ。
「いやでも、これ着てきてって言われてるから」
「……その同級生にか?」
「う、うん」
「ダメだ。それは脱げ」
赤井さんは問答無用という感じで、白いワンピースをこちらに投げた。
わたしは大げさに、きゃあと叫ぶ。
「脱げだって!! 赤井さんのえっち……! もう!」
「……くだらないことを言ってると、またライフルをぶっ放すぞ。いいから早くしろ」
「えー、どうしよっかなー」
「………はやく」
「土下座、したら……考えてあげてもいいけど…?」
ニヤリと腕組みして笑った瞬間、赤井さんがどこに隠し持っていたのか、ピストルを取り出して私の胸につきつける。
「強制かよ!!! つかどこに忍ばせてたの!?」
「拒否権なんてないと思え」
「ひど!! 足の怪我だってまだ直ってないのに!!!」
「そうだ。だからそんなハイヒールで歩くのは無理だ。諦めろ」
はっと気がついた。
たしかに治りかけとはいえ、一日中この高いピンヒールで歩き回るのは、私の足には酷だろう。
しぶしぶハイヒールは脱ぐ。すると赤井さんが、少しだけほっとしたような顔をした。
「なんでそんなにダメなの? このドレス、似合ってない?」
「お前にはまだ早い。あと5年くらいしてから着るんだな」
ぷう、と私はほおを膨らませる。
なんなんだ、その言い方は。
5年って……そんなのまだまだじゃない。
むくむくと謎の対抗心が湧いてくる。
「でもメイクはしちゃったし。ドレスはこれでいくって決めたから」
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やっち(プロフ) - 更新お待ちしてます (2022年4月22日 11時) (レス) @page23 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
みー - 主人公ちゃんも赤井さんも魅力的で何度も読み返しちゃいます、、いつかまた戻って更新されてるの楽しみにしてますね! (2021年8月31日 20時) (レス) id: fa7939d4a9 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 面白かったです。更新楽しみにしています!!! (2021年6月2日 2時) (レス) id: 3c947ce476 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ - めっちゃくちゃおもしろかったです! (2021年4月23日 17時) (レス) id: 1d6a9bd8f3 (このIDを非表示/違反報告)
キサキ(プロフ) - 面白くて何度も戻ってきて読んじゃいます、更新お待ちしております頑張ってください!!! (2020年10月20日 10時) (レス) id: a8bb3b0a09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2019年9月30日 12時