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沖矢の推理にほぉー、と感心する会議室の面々。
俺はそれを横目に機械室とボイラー室の位置を確かめた。
確か、Aがレイとかいうガキと一緒に向かっていた方向は………
ボイラー室のほうだったか?
だとしたら、彼女はそこに閉じ込められている可能性が高い。
コナン君と目が合う。彼も静かに頷いた。俺も頷き返す。
間違いない。Aはここにいる。
「今すぐにでも乗り込んでいきたいところだけど__________それは無理だな」
今のところ、犯人が何人かもわからない。複数人いる場合は、人質のAを危険に晒すことになる。
「警察に電話は?」
「たった今、沖矢君がしてくれた。すぐに駆けつけてくれるそうだ」
「お金はどうです? 用意できそうですか」
次郎吉は豪快に笑った。
「それについては何の心配もいらん。三億くらいはした金よ。Aさん……だったか? 彼女の命が助かるのなら、その金くれてやってもいい」
「三億がはした金っすかぁ。さすが天下の鈴木財閥っすね」
苦笑顔の毛利探偵。
俺は部屋の隅まで移動して、こっそり風見に連絡を入れた。
「……今から大至急、米花ホールに来て欲しい。俺の拳銃を持ってきてほしいんだ。……発砲許可は俺が後日何とでも根回しする。とにかく急げ。……構わん。俺の命令だと言え」
事前説明がないとかかんとか、渋る風見を説き伏せて、俺は無理やり通話を終わらせた。
Aを助けたら________________、
犯人たちを、どうしてやろうか。
ぶん殴って、二度と立てないくらいに叩きのめしたくらいじゃ、気が済まない。
死に値するくらいの苦しみをもって、痛めつけて、いっそ死にたいと思うくらいに嬲り殺しにしてやる。
もしAが、怪我なんかしていたら、その時は……彼女にもしものことがあった、その時は……
「安室君」
はっと我に帰った。
背後を向くと、沖矢がじっと俺を見つめている。自然、対峙する形になった。
「職権乱用も甚だしいな」
「何のことですか?」
「しらばっくれるな」
沖矢は不意に俺の肩を掴んだ。突然のことで、その手を振り払うことすら忘れてしまった。唖然としている俺を見つめ、沖矢はかすかに眼を見開く。
「……君の大切な人を危険な目に合わせたんだ。一発ぶん殴ってやるくらいのことができなくては、男とは呼べんだろう。
でもな、________________」
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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか?是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました!景光と零と夢主が夢の中で3人で会話してるの見たいです!更新待ってます! (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年6月15日 16時