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しかし__________まったく、分からん。
目の前で、ただ泣き続ける女の子に途方にくれ、私は眉をしかめた。
ええい、ちょっと待てよ。
頑張れ私!!!!
推理だ、推理するんだ!!!! 喋れないこの状況で、女の子から私が欲しい情報を引き出すのは不可能に近い。
そもそもこの女の子が何者で、本当に信用できるかも分からないのだ。
ここは、確定的事実で、外堀から埋めていくのが得策だろう。
まず、揺るぎない事実一つ目。
私は誰かに襲われ、気絶させられて、ボイラー室か何かに閉じ込められている。
次に揺るぎない事実二つ目。
どうやら私は、鈴木財閥の令嬢と勘違いされているらしい。
そして三つ目。
レイ君は目の前の女の子を殺されると脅されて、私を(鈴木財閥の令嬢)と思い違いをして、ここまで連れてきた。
もっとも三つ目は、目の前にいる女の子の話が本当だったなら、だが。
では、ここで問題です。じゃじゃん。
これらの事実から導き出される結論は、いったいなんでしょうか?
ちょうどそのとき、まるで恐怖の幕開けのように、部屋の重たい鉄のドアがかすれた音を立てて私たちの方に開いた。
●
コナンside
「毛利先生。ちょっといいですか」
安室さんと沖矢さんと、お姉さんがどこにいるのかとりあえず探しに行こうかと話し合っていた時、青ざめた顔をしたスタッフが数人、おっちゃんの方はやってきた。
「なんだ。どうかしたのか」
「じ、じつは、毛利先生に協力を仰がなければならない事態になりまして………ご内密に、お話させていただきたいのですが」
「ごないみつぅ?」
こんな昼間っからワインを煽っていたおっちゃんは、素っ頓狂な声をあげ、慌ててスタッフに制される。
「と、とにかく、非常事態なんですよ。お願いします。お客様には気がつかれないように………」
「わっーたよ」
怠そうにスタッフに連れられていくおっちゃん。
俺と安室さんと昴さんの視線が、見事に交差した。
何かある。
俺たちもおっちゃんの背後から、スタッフについて行った。
「おい、なんでお前らまで」
「困った事態なら、探偵の数は多い方がいいですよ」
すかさず安室さんが爽やかな笑みを浮かべ、俺と昴さんもうんうんと頷いた。
事件の匂いを嗅ぎつけたのに、引き下がるなんてできっこない。
スタッフに案内されて、俺たちはメインホールから離れた小さな会議室のような場所に通された。
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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか?是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました!景光と零と夢主が夢の中で3人で会話してるの見たいです!更新待ってます! (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年6月15日 16時