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肩が、半分冷たい。
足首と手首が、びりびりと痺れていた。


淡い闇の中から目を覚ました私は、うっすらと目を開ける。


まず初めに目に飛び込んだのは、薄暗いコンクリート剥き出しの壁と、複雑に入り組んで壁を伝う排水管。

電気はほとんど消えかかっているようで、全体的に薄暗い。


ここ、どこだろう……??


手足を動かそうとして、はっと息を飲む。
手首と足首にはガムテープか巻かれてあった。痺れているのはこれのせいだ。
声をあげようと思ったが、口にもガムテープがされて、喋ることができない。


どういう状況………?


確かわたし、迷子のレイくんに連れられて、立ち入り禁止の部屋に入る直前に、何かで気を失って……そこから記憶がない。


もぞもぞと動いていると背後から消え入りそうな声が聞こえてきた。


「お姉さん、起きた?」


はっとして、声のする方になんとか寝返りをうつと、目を見張るくらいに綺麗な金髪をした女の子が一人、私を心配そうに見つめている。

歳は、10歳くらい、だろうか。
金髪の巻き毛が顔を縁取って、目はバービー人形並みにでかい、てかもうバービー人形そのものと言っても過言じゃないだろう。
青い瞳にうっすら涙をためて、私と同じように手足を縛られて寝転がらされていた。私と違って、口は塞がれていない。


「んんん……ん?」


くそ。喋れない。


しかし女の子は私の言いたいことが分かったかのように、喋り始めた。


「ごめんなさい……ぜんぶ…ぜんぶ、私とレイのせいなの。ごめんなさい……」

「んんん……」


女の子はぽろぽろと泣きながら、怯えたように辺りを見回す。


「お姉さんをこんなことに巻き込んでしまって……私たち、脅されてるの。怖いお兄さんたちに。鈴木財閥の令嬢をここに連れてこいって」


女の子の言葉に、私は驚きで目を見張った。


鈴木財閥の令嬢をつれてこい!!!??

それって………園子ちゃんのことじゃ………


ど、どういうことだろう?

懸命に頭を働かすが、全く真相が掴めない。ああ、こんなときコナン君がいてくれたら。


「レイは……命令に従わないと、私を殺すって脅されて……それで仕方なく、あなたをここに連れてきたの。
ごめんなさい……ほんとうに、ほんとうにごめんなさい……」


命令に従わないと、目の前の女の子が殺される……だからレイ君はあんなに必死で、そして怯えていて………



死に物狂いで、何が何でも、私をここに連れてきたわけか。

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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか?是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました!景光と零と夢主が夢の中で3人で会話してるの見たいです!更新待ってます! (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2018年6月15日 16時

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