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「ここが景光さんのお墓なんだね」
秋の日差しを浴びてきらきらと光る暮石は、まさにスコッチさんの笑顔を思い出させる。
零さんが静かにお花をいけてから、お線香をあげた。
「時々来てるんだ。お花枯れないように」
「そうだったんだ……」
スコッチさんの御墓参りに行こうと言いだしたのは、私だった。
どうして私がスコッチという名前を知っているのか、一体彼とどういう関係なのか、零さんにも思うところは色々あったようだけど、何も言わずに頷いてくれた。
やっぱりちょっと寂しいな。
あの陽気な笑い声が、もう聞けないなんて。
でもそんな未練たらしいことを思っていたら、天国でスコッチさんに笑われてしまうに違いない。
零さんと一緒に手を合わせて、「天国で幸せにね」と心の中て呟いた。
「じゃあ行こうか」
「うん」
零さんが、そう言って立ち上がる。
二人で肩を並べて歩いていると、零さんがそっと私の手を握った。
指と指が自然に絡まる。
恋人繋ぎってやつだ! と内心でワクワクしていたら、零さんにつん、と頰をつつかれた。
「何ニヤニヤしてるの?」
「えへへ。零さんと恋人繋ぎだ! と思ってたの!」
「っ………唐突にテロを起こすなよ、ばか」
「は? テロってなにが?」
意味の分からないことを言い出した零さんに、首をかしげる。
そんな私を見て、ぐしゃぐしゃと頭を撫でてくる零さん。
頭ボサボサになるからやめてほしい。
零さんのrx-7の助手席に乗り込んで、シートベルトを締める。
行きしなに道の駅で零さんに買ってもらったお饅頭を幸せな気分で食べていたら、零さんがぎゅっと私を抱きしめた。
「どうしたの、零さん。お饅頭欲しいの?」
「……なあ、キスしたくない?」
「んー、今はいいかなぁ」
「俺はしたい」
「車出さないの? 早くしないと帰るの夕方になっちゃうよ?」
「キスしたくないのか?」
ギロリと私を睨む零さん。
こういう時の零さんに逆らうと後々面倒なことになるのは経験上、よく分かっている。
私は仕方なくお饅頭を脇に置いて、目を閉じた。
零さんの顔が近づく。身構えた時、前髪をさらりとかきあげられて、ちゅ、と額に温もりが触れた。
「えっ……お、おでこ?」
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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか?是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました!景光と零と夢主が夢の中で3人で会話してるの見たいです!更新待ってます! (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年6月15日 16時