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それに、と続ける。
「俺としては、別に家でも外でも、どっちでもいいし。Aが一緒にいてくれるなら」
「れ、零さん……見直した……こんなに紳士なイケメンだと思わなかった。ただのイケメンなゴリラだと思っててごめんね」
「そんなこと思ってたのかよ。今知ったんだけど」
ぶすっとした零さんを横目に、私はジンジャーティーをこくこくと飲んだ。
温かくて、ほんのり甘いジンジャーティーの香りが口いっぱいに広がる。おいしい。
思わず「おいしいー」とはしゃいで声をあげたら、またお腹が悲鳴をあげた。
「ううううええ」
「おい大丈夫か。なんだその悶え方」
「痛いよう」
零さんが黙って私のお腹に手を置いた。そのまま優しくさすってくれる。
「あ、ありがとう……」
「別にいいけど。そんなに痛むならさ……止めてやろうか? 一年くらい」
零さんがニヤッと笑う。
一瞬、何を言われたのか分からなくてポカンとした私は、意味が分かった瞬間零さんを殴った。(もちろん普通によけられた)
「顔真っ赤だけど、何想像してるんだよ」
「わ、私はべつになにも……」
「安心しろよ。一発で孕ませてやるから」
「セクハラ三十路警察官っ! 信じられない」
「俺はいつでも大歓迎だよ」
「しらないってば!! もう零さんのバカ!」
はははは、と冗談みたいに笑いつつ、さらりと「まあいつかだな」と爆弾発言を残して、零さんは私が飲み干したジンジャーティーを持って出て行った。
そのまま薬を買いに行ってくれて、その日一日中、ずっと私のそばにいてくれた。
時々、痛むお腹をさすってくれる。
「零さん、また今度映画行こうね」
「ああ、またな」
優しい目で微笑む零さん。そっと唇が、私の額にふれた。ふわりとした温もりを感じて、私は目を閉じる。
零さんが私を抱きしめてくれた。その腕の中で、気がつけば薬の副作用なのか、それとも零さんの胸の中にいる安心感なのか__________私はゆっくりと眠りにおちた。
♡
俺の腕の中ですやすやと眠るAは、普段の彼女より一回り歳下に見える。あどけない寝顔をじっと見つめ、案外映画デートよりこっちの方がよかっな、なんて思う。
映画だったら、暗くて顔見えないしな。
俺が頰にキスすると、れいさん、と夢見心地にAが呟く。
それが言葉で言い表せないほどに愛おしくて、俺はもう一度彼女にキスをした。
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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか?是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました!景光と零と夢主が夢の中で3人で会話してるの見たいです!更新待ってます! (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年6月15日 16時