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「Aさんがいないだとお? どうなってんだ、こりゃ」
途方に暮れたようにつぶやく毛利探偵。
俺は胸のざわつきが、じょじょに確信に変わっていくのを感じていた。
Aが連れていた、あの金髪の迷子の少年___名前は、レイ。
親を見つけてやろうとしたら、不自然なほど怯えて俺から遠ざかろうとした、あの態度。
まさか。
あのガキは__________
「ねえ一体、どういうことなの? ちゃんと説明してよ!」
「誘拐ってなんのこと!?」
苛立ったように叫ぶ園子たちに、毛利探偵と次郎吉さんが今までの経緯を説明する。
「つまり、わたしを誘拐したって電話がかかってきたってこと?」
園子が眉をひそめる。
「で、でも園子はここにいるよね?」
「そうなんだ、蘭姉ちゃん。何かがおかしいんだ。誘拐犯は園子姉ちゃんを誘拐したつもりだったけど、実際は多分違う人物を誘拐してる」
「ち、違う人物?」
説明するコナン君を横目に、俺はスマホを起動する。Aの携帯の電源はまだ、切られたままだ。
「ま、まさか、それって………」
「Aだ」
俺の言葉に、全員が驚きに眼を見張る。
「あ、安室さん……そんな、バカな…」
「いえ、おそらく間違いないと思います。実は僕、迷子の子供を連れているAを見つけたんですよ。その時に、館内放送で見つけてもらった方が早いんじゃないかって提案したんですが_____、その時の少年がどうも妙でね」
「妙、とは?」
沖矢の双眸が鋭くなる。
「まるで、親を見つけられること、怯えてるみたいだったんですよ。普通は逆でしょう。一刻も早く親に会いたいと思うはずだ。なのにその少年は、館内放送を嫌がって、それで結局Aが自分で見つけるって……」
なるほど、と呟く沖矢。
「その子供が、犯人とグルな可能性はあるな」
「子供相手に油断させられて、まんまと誘拐されちまったのかもしれん」
そんな子には見えなかったよねえ、と蘭と園子が呟いたが、毛利探偵は鼻で笑った。
「そういう純粋無垢な態度で騙してるんだよ」
「そうなのかなぁ」
「とりあえず警察に知らせた方がいいですな、会長。犯人からの第二報がある前に」
「待ってください。警察は必ず私服警官を。裏口ではなく、堂々と表口からパーティ会場へ入ってください。客人に紛れ込ませるんです」
俺の言葉に次郎吉さんが頷き、まさに警察に電話をかけようとしたその時。
不吉な電話のコールが、会議室に鳴り響いた。
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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか?是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました!景光と零と夢主が夢の中で3人で会話してるの見たいです!更新待ってます! (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年6月15日 16時