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「本当なら、あなたをこのまま帰すことも憚られるくらいですよ」
沖矢さんが耳元で囁いた。
「………はい?」
シチューに入れるための人参を切っていた手が、ピタリと止まる。
「安室さんが許してくれるなら、ここにいていただきたいくらいですね」
「な、な、なにを……言ってるんですか!!!??」
大袈裟に飛び退いた私に、しかし沖矢さんは冗談で言ったわけではないようだった。
その証拠に、沖矢さんの顔は険しくて、相変わらずいつもは閉じている瞳が開眼している。
「ここにいたら____________」
沖矢さんが握っていた私の手首をそうっと離した。
「命にかえても、守ってやれるのに」
「な、なにを……」
「もう、あんな無力な思いをするのはごめんだからな……」
あんな無力な思い?
「どういう意味ですか?」
「ストーカーに刺された時、お前を守ってやれなかった」
「あ、う………」
淡いグリーンの双眸に見つめられて、思わずごくんと息を飲み込んだ。
だれだ、これ。沖矢さんじゃ、ない……?
「そ、それはもう……大丈夫、ですから。沖矢さんのせいじゃないし」
「いや、俺の______私のせいですよ。守れるはずだったのに、守れなかった」
沖矢さんは黙って私の頭を撫でる。
「今度は必ず守りたいんです。______何かあったらすぐに連絡してください。どこにいても駆けつけます」
「ど、ども、です」
「今日は送りましょう」
「へ?」
「家まで送ります」
「い、いえ、結構です!!!!」
私は慌てて首を横に振った。
零さんは何故か、沖矢さんのことを快く思っていないらしい。
でもスコッチさんと沖矢さんは知り合いみたいだったし、二人も友達なんじゃないか、と思うんだけど……どうも馬が合わないようで。
沖矢さんとお料理してたなんてバレたら、何を言われるか分かったものではない。
しかし沖矢さんは、怖い顔でピシャリと言った。
「あなたは本当に何も分かっていないようだ。
安室くんの恋人になるということが、どういうことなのか、考えたことはありますか?」
「へ?」
「彼のことを、容姿端麗な完璧な恋人、程度に思っているなら、浅はかにもほどがありますよ」
「ど、どういう意味ですか?」
思わずきっと沖矢さんを見返したら、沖矢さんがため息をついた。
「君は彼がどれほど危険な世界に身を置いているか、分かっていない」
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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか?是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました!景光と零と夢主が夢の中で3人で会話してるの見たいです!更新待ってます! (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年6月15日 16時