ジャックザリッパー編6 ページ6
「Aさん、何かありました?」
「えっ?」
帰り際、安室さんが何でもない風に突然聞いてきた。
何かありました?
そう問われて、咄嗟につけられてるかもしれない、なんて言葉が浮かぶ。
「いえ、特に何も。どうしてですか?」
何でもない風に、私も答えた。
「いえ。別に」
安室さんは深く尋ねようとはしなかったが、私の目をじっと見て言った。
「何か困ったことがあれば、いつでも頼ってください。お力になりますから」
◇ ◇
その日は、ポアロのシフトが休みだった。私は基本、貧乏人なので毎日シフトに出ているのだが、今日はポアロ自体が休店日だったのだ。
行くあてもないので、近くの公園に散歩でも行こうと思いつき、スコッチさんを飼い犬のように従えて、私はホテル近隣の小さな公園にやって来た。
『お嬢ちゃん、最近つけられてるよ』
「あ、やっぱり?」
スコッチさんが言ったので、私も頷いておく。
何だ気がついてたのか、と驚いたように言うスコッチさんに、まあね、と返した。
「私に気がつかれるくらいなら、シロウトだね!」
『俺はなぁ、あの女子大生だと思ってる』
へ?
あの女子大生? だれ?
『忘れたのかよ!! 安室にしつこく依頼してた栗毛の美大生の子!』
「ああ……あの子か」
いや、なんであの子が私を?
『だからそれは、当てつけだよ。安室と仲良いからさ。嫉妬してるんだよ、お嬢ちゃんに』
「そんなぁ。まさか。あの件はもう片が付いたって安室さんも言ってたしさ?
わざわざストーカーしたりするかな?」
『……公園の中央、噴水の右横のベンチ。ちらっと見てみろ』
へ?
いいから、と急かすスコッチさんに言われるまま、なんでもない風に噴水の横にあるベンチを伺って、はっと息を飲んだ。
見覚えのある栗毛の女の子。
間違いない。以前、ポアロによく足を運んでいた女子大生だ。
なんでここに……?
『なっ。つけられてるだろ』
「偶然じゃないかな……」
『そう思うかい?』
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ん - え、え、、突き落とされて刺されそうになったのに許す意味が分からない…周りのみんな甘ちゃん過ぎる… (2022年6月11日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になって読んじゃいました。よろしくお願いします。 (2019年2月7日 9時) (レス) id: 16ee8f1076 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - salomeさん» ハマっていただけて、本当に嬉しいです……! 更新頑張れます! ありがとうございます! (2018年5月17日 17時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
salome - いつも見ていますこの小説かなりハマりました更新されるたびに面白く感じたりハラハラドキドキしたり今回夢主がストーカーに刺されて重症になって安室さんも夢主に対して自覚からマジ恋に目覚めて夢主早く意識覚まして安室さんを安心させて欲しい (2018年5月17日 14時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 秋都さん» 朝から嬉しくて号泣です……ありがとうございます……! (2018年5月17日 7時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年5月2日 21時