ジャックザリッパー編16 ページ16
そんな時だ。
あの女の子が現れたのは。
多分、歳はわたしと同じくらいで。第一印象はわたしと真逆。
黒髪で清楚というより、質素って感じで。ピアスもネイルもしていなくて。
だけど、朝から夜までテキパキと仕事をしている彼女はどこか大人びていて、わたしの周りにいる人の誰とも違っていた。
その女の子は、安室さんと楽しそうに話している。
時々、安室さんの頭を撫でていたりする。そういう時の安室さんはすごく嬉しそうで、女の子の方は、仕方ないなぁ、って感じ。
「ダメじゃないですか、安室さん! いつも無理しないでって言ってるのに!!」
そう言って怒りながら、安室さんの頭を撫でる女の子。
羨ましかった。
そんな風に「安室さん」って、気軽に彼の名前を呼べることも。
安室さんに嫌がられることなく、彼の髪の毛を触ってもいいことも。
わたしはそんなことできない。
だってわたしは、ただのお客様、だから。
そう思ったら、かっと体が熱くなって。
気がついたら、安室さんのエプロンを掴んでいた。
「依頼したいことがあるんです……」
元彼につきまとわれて、困ってる。
そんなありもしない話をでっちあげた。
実際その時はまだ、ストーカーってほどじゃなくても、急にわたしに振られた彼は、しつこく復縁を申し込んでいた。
彼から送られてきて、無視し続けていたメールもいい証拠になった。
「これは怖いですね」
いつものように優しくわたしに同情して、安室さんは快く依頼を引き受けてくれた。
嬉しかった。
電話一本で、彼はどこからでも飛んできてくれる。
わたしが怖いと泣けば、必死で慰めてくれる。
どこにいても守ってくれる。
ぜんぶ、わたしのため。
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ん - え、え、、突き落とされて刺されそうになったのに許す意味が分からない…周りのみんな甘ちゃん過ぎる… (2022年6月11日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になって読んじゃいました。よろしくお願いします。 (2019年2月7日 9時) (レス) id: 16ee8f1076 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - salomeさん» ハマっていただけて、本当に嬉しいです……! 更新頑張れます! ありがとうございます! (2018年5月17日 17時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
salome - いつも見ていますこの小説かなりハマりました更新されるたびに面白く感じたりハラハラドキドキしたり今回夢主がストーカーに刺されて重症になって安室さんも夢主に対して自覚からマジ恋に目覚めて夢主早く意識覚まして安室さんを安心させて欲しい (2018年5月17日 14時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 秋都さん» 朝から嬉しくて号泣です……ありがとうございます……! (2018年5月17日 7時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年5月2日 21時