ジャックザリッパー編14 ページ14
「Aさん、どうしたの、その顔の傷」
安室さんが新作のケーキを準備している間に、私の顔を見てぎょっとしたように言うコナン君。
「ホントだ……大丈夫ですか？」
蘭ちゃんが心配そうに聴いてくれた。
ええ子や……！
「ははは……ちょっとこけちゃって。大丈夫だよ」
すぅ、とコナン君が目を細める。
大きな眼鏡の奥から、鋭い目つきでじっと私を観察している。
ば、ばれないかな……大丈夫かな…。
コナン君は、何せ中身は高校生探偵だ。傷の不自然さに気がつかれたら、どうしよう。
だが心配をよそにコナン君がそれ以上、何か問い詰めるということはなかった。
問題はむしろ安室さんだった。仕事中に、無意識に痛めた足を庇うように歩いていたのかもしれない。
「足、痛めてますね」
ぼそ、と耳元で安室さんに囁かれて、思わずびくりとする。
「それも、躓いた時に？」
「そ、そうです……えへへ」
「……本当にこけただけなんですよね？」
「あ、当たり前じゃないですか」
へらへらと笑うと、何か言いたげな顔をする安室さん。
やがてため息をついて、私の頭をぽんぽんと叩いた。
「気をつけてくださいよ、まったく……」
「は、はい……」
ぽんぽんは反則だ……！！
慌てて安室さんから目をそらすと、今度はお客様の男性と目があった。
最近よく来る、あの大学生の男の人だ。
じっと私のことを見つめている。
どうしたのかな？
あ、コーヒーのおかわりかな？
そう思ってコーヒーを持って行こうとしたら、男の人はさっと目をそらす。
何となくその様子に違和感を感じながらも、私は仕事を再開した。
◇ ◇ ◇
誰かにつけられている、という感覚は日に日に増していた。
安室さんに送ってもらえない日は、沖矢さんに迎えに来てもらっている。
もっとも、安室さんに気がつかれないように、店の裏側に車を停めてもらっているのだが。
「最近、どうですか？」
「……まだつけられている気がします」
「まあ、そうでしょうね。私もそんな気がしますし」
沖矢さんはすんなり頷き、車を発進させる。
「安室さんには、相変わらず何も言ってないようですね」
「当然です。絶対言えません」
はぁ、とため息をつく沖矢さん。
私だってため息をつきたい。なんで私がストーカーされなくちゃいけないんだ。
栗毛の女の子は、歩道橋で突き落とされて以来、まったく見かけなくなっていた。
良くも悪くも、そのせいで事態は低迷したままだ。
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ん - え、え、、突き落とされて刺されそうになったのに許す意味が分からない…周りのみんな甘ちゃん過ぎる… (2022年6月11日 4時) (
レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になって読んじゃいました。よろしくお願いします。 (2019年2月7日 9時) (レス) id: 16ee8f1076 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - salomeさん» ハマっていただけて、本当に嬉しいです……！ 更新頑張れます！ ありがとうございます！ (2018年5月17日 17時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
salome - いつも見ていますこの小説かなりハマりました更新されるたびに面白く感じたりハラハラドキドキしたり今回夢主がストーカーに刺されて重症になって安室さんも夢主に対して自覚からマジ恋に目覚めて夢主早く意識覚まして安室さんを安心させて欲しい (2018年5月17日 14時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 秋都さん» 朝から嬉しくて号泣です……ありがとうございます……！ (2018年5月17日 7時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2018年5月2日 21時
