ジャックザリッパー編12 ページ12
その日はホテルまで沖矢さんに送ってもらった。
「これからどこかへ行く時は、必ず連絡してください。あと、何か異変があった時も、すぐ」
「わ、分かりました……ありがとうこざいます」
「いつもは安室さんが送ってくれるんですよね?」
「え、ええ……シフトが被っている時は」
「じゃあその時は大丈夫でしょうが……その時以外は必ず連絡してください。いいですね」
沖矢さんに強く言い聞かされて、私ははい、と頷いた。
まあ、でも正直なところ、ちょっとホッとしている。自分でもどうしようかと悩んでいたし、沖矢さんが守ってくれるなら安心な気がした。
「ありがとうこざいます、沖矢さん」
私はもう一度、沖矢さんに頭を下げた。
◇ ◇
「どうしたんですか!!? その傷!!?」
朝、ポアロのドアを開けて挨拶すると、安室さんがガタンッと椅子から立ち上がって、驚きに目を見張っていた。
「え、あ……いや……えっと……」
ずんずんと歩いてきて、私の肩をがしっと掴む安室さん。
「こ、これは……道でつまずいてこけちゃって…えへへ」
「……こけたって、顔も擦りむいてるじゃないですか!」
「そ、そうですね……」
「どうこけたら、こんな怪我になるんですか!!」
「え、へへへ……」
「鈍臭すぎるだろ!!」
「え、あ、うん……」
なんか今、違う安室さんが顔を出したような……。
安室さんは眉をひそめて、じっと私を覗き込む。安室さんの指がそうっと私の頰に触れた。
細い指先がつー、と私の顔をつたって、優しく撫でる。
「っ………」
見たこともないくらい、ひどく優しい目をしている安室さん。
すっと目を細め、傷口に手を当てられる。
「Aさん……」
安室さんの瞳が揺れた。
くい、と顎を持ち上げられる。顔が近くなった。
吐息が混じる。
「あ、安室さん……」
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ん - え、え、、突き落とされて刺されそうになったのに許す意味が分からない…周りのみんな甘ちゃん過ぎる… (2022年6月11日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になって読んじゃいました。よろしくお願いします。 (2019年2月7日 9時) (レス) id: 16ee8f1076 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - salomeさん» ハマっていただけて、本当に嬉しいです……! 更新頑張れます! ありがとうございます! (2018年5月17日 17時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
salome - いつも見ていますこの小説かなりハマりました更新されるたびに面白く感じたりハラハラドキドキしたり今回夢主がストーカーに刺されて重症になって安室さんも夢主に対して自覚からマジ恋に目覚めて夢主早く意識覚まして安室さんを安心させて欲しい (2018年5月17日 14時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 秋都さん» 朝から嬉しくて号泣です……ありがとうございます……! (2018年5月17日 7時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年5月2日 21時