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ジャックザリッパー編3 ページ3

んー……

ぱさり、と何かが落ちる音で目が覚めた。

そろそろとあたりを見回すと、見慣れたポアロの店内。だが今は照明は消えて薄暗く、正面のガラス窓から夕日が差し込んで、床の割れ目を緋色に染めていた。

ゆっくりと起き上がり、まだ半分重たい瞼をこする。

「……スコッチさん?」

返事はない。
しぃん、と静まり返った店内。

そういえば安室さんもいない。なんでみんな、すぐどっか行っちゃうんだ。

やれやれと、床に落ちた物を拾い上げると、安室さんが着ていた上着だった。どうやら彼が私にかけていってくれたらしい。

テーブルを見ると、メモが残されていた。


『四十分ほどで戻りますので、待っていてください』


安室さんはまだ戻ってきていないようだ。ということは少なくとも安室さんが出て行ってから四十分は経ってないってことだ。

上着はまだ私の体温で、ほんのりと暖かかった。

うん、着よう。そうしよう。

私だって、生涯に一度くらい彼シャツならぬ彼カーディガンやってみたい。彼氏じゃないけど。

私はそろそろとその上着に手を通してみた。


「うわー、やっぱ安室さんって大きいな」

ニット素材のカーディガンだったが、私が着るとブカブカだった。袖から手が出ない。腕ながっ。すごっ。

カーディガンをぎゅっと抱きしめようにすれば、安室さんの匂いがした。いい匂いだ。


ていうか、私今、ものすごく犯罪的なことをしてる。でもイケメンのカーディガンの匂いは、誰だって嗅ぎたいはず……!!!

うん、めっちゃいい匂い。私匂いフェチなんだよ。


よし、もっかい嗅ご。
んー、いいにおいだ……

「何やってるんですか?」

「ひぇっ!!!??」

パチっ、と店内が明るくなって、聞き慣れた声にそろそろと振り向けば、安室さんが無表情で私を見ている。

「え、あ、いや……えっと……エヘヘ」

「何やってるんですか」

つかつかと歩みよってくる安室さん。思わずばっと逃げ出して、カウンターの裏に回り込んだ。

「ひえええ!!! 許してくださいごめんなさいほんの出来心だったんですぅ……自分でもなんでこんなことしたのか分かんないですごめんなさいちゃんと洗濯して返すんで、許してください!!」

「………いや、そんなことはいいから。何で着てるんですか、それ」

「だからそれは、ほ、ほんの出来心です……」

「…………」

気まずい沈黙がポアロを満たす。

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- え、え、、突き落とされて刺されそうになったのに許す意味が分からない…周りのみんな甘ちゃん過ぎる… (2022年6月11日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になって読んじゃいました。よろしくお願いします。 (2019年2月7日 9時) (レス) id: 16ee8f1076 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - salomeさん» ハマっていただけて、本当に嬉しいです……! 更新頑張れます! ありがとうございます! (2018年5月17日 17時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
salome - いつも見ていますこの小説かなりハマりました更新されるたびに面白く感じたりハラハラドキドキしたり今回夢主がストーカーに刺されて重症になって安室さんも夢主に対して自覚からマジ恋に目覚めて夢主早く意識覚まして安室さんを安心させて欲しい (2018年5月17日 14時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 秋都さん» 朝から嬉しくて号泣です……ありがとうございます……! (2018年5月17日 7時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2018年5月2日 21時

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