稽古 ページ12
荒木 side
今回から参加している丸野くん。彼は今回の舞台が演技も出演も初めてだということ。今は彼が登場するシーンの稽古。演出家の茅野さんに言われで持ち場に着く。
「とりあえず、丸野くん。このシーンを」
『…はいっ!』
「じゃあ、顕現するところから。」
彼は緊張しているのか何度か深呼吸を繰り返してから所定の立ち位置につく。お願いします、と一言告げて動き出す。
『…わたくしは、白山吉光。吉光のきたえた、つるぎ、です。嫁入り道具であり、冥福を祈るものでもあります。どうかよろしくおねがいします。』
セリフをひとつ言うと、彼は曲に合わせて舞う。ダンスではなく、日本舞踊がメインとなった舞であった。多分、ここにいる全員目が離せなかっただろう。衣装を身につけてないのに、そこに刀剣男士がいるような錯覚に陥る。
「はい、止めて。」
茅野さんの一言で現実に戻された。確か、今まで演技をしたことがないと言っていた。まだ演技に粗が目立つ箇所もあるが、新人としては上手い部類になるのだろう。初めてにしては堂々としていた。しかし、舞が格別に違った。
「とりあえず、顕現の舞は大丈夫。もう少し細かいとこに注意するとより良くなると思う。演技のところは、もうちょい動きをつけて欲しい。ただ立ち止まるんじゃなくて、白山吉光をイメージして、もう少し動きがあるといいと思う。」
『はい、ありがとうございます。』
彼は言われたことをすぐにメモし、何度か頭を捻って、書いては消してを繰り返していた。舞に関してはその場で指先まで気を配った動きを軽くしてみたり、緩急を変えてみたりその場でできることをやっていた。
「すごいっすね」
「あ、輝。凄いね。演技はもっと磨けば光るんだろうし、踊りが上手いね」
「目離せなかったっすもん」
「高校まで日本舞踊やってたって言ってましたよ」
「へぇ、飛び抜けてるもんね」
近くにいた輝に声をかけられて話をしていると、輝の隣にいた樟太郎が日本舞踊を習っていたと言う情報をくれた。道理で上手いと思った。はるちゃんも日本舞踊を踊るけれど、少し違うのは流派の違いなのだろう。
今日は抜き稽古のため、要所要所で手直しが入る。顕現するシーンは彼が舞台に上がる上で重要になるシーンの一つである。
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むんさ - 話が好きでいっきに読みました!!リクエストなのですが真剣乱舞祭のバックステージとか書いて頂けないでしょうか🙏 更新待ってます。 (7月11日 22時) (レス) id: 2393d5040c (このIDを非表示/違反報告)
菜めし(プロフ) - ななりさん» リクエストありがとうございます✨️少し時間がかかってしまうかもしれませんが精一杯書かせていただきます! (2023年3月24日 16時) (レス) id: c0fc9bddc7 (このIDを非表示/違反報告)
ななり(プロフ) - コメント失礼します!いつも楽しく読ませていただいてます( ¨̮ )リクエストなのですが、個人的に流司くんとの絡みが欲しいな!と思います!流司くんに可愛がられる後輩…で見てみたいです!宜しければお願いします(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2023年3月24日 13時) (レス) id: 40f404ad6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜めし | 作成日時:2023年1月29日 23時