『幸せ』の意味 (ページ35)

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幸せの意味33 ページ35

和にぃの急変を知らされ、病院へ呼ばれたのはそれから１ヶ月くらいたった頃だった。

潤｢和にぃっ！！｣

息を切らせて病室に駆け込む。

今学校から向かっているという雅にぃ以外はもう病室に来ていた。

翔｢もしかしたら今日が最後かもって言われちゃってさ。｣

悔しそうに翔にぃが和にぃの頭をなでる。

この1ヶ月でさらに痩せてしまったようにも思える。

智｢潤もこっちおいで。｣

智にぃが手招きする。
でも俺は怖くて動けなかった。

悔しくて、認めたくなくて。
でも涙は出なかった。

なんでか分からないけど。
ふわふわと夢の中にいるような感覚だった。

ガラガラッ＿＿＿

雅｢和！？｣

雅にぃが慌ててきた。

和の傍に駆け寄ると大粒の涙をながしてわんわん泣いていた。

翔｢雅…｣

そう言って翔にぃは雅にぃの頭をくしゃっと撫でた。

その夕方、智にぃと翔にぃは近藤先生に呼ばれた。

今病室には雅にぃと和にぃと3人。

雅｢ちょっと、トイレいってくるね、｣

泣き腫らした目で雅にぃが言った。

和にぃと2人になった俺はそっと和にぃの手に触れてみた。

冷たい。

冷え性な和にぃはいつも手がひんやり冷たかったけど、今の和にぃの手はまるで血が通ってないみたいな感じだった。

潤｢ねぇ、和にぃ｣

俺はポツリと呟いた。

昏睡状態に陥っている和にぃが答えるはずもないが俺は続けた。

潤｢和にぃは俺よりも頭が良くて運動もできて和にぃが羨ましいって思うこと沢山あったよ。でも病気になった和にぃが辛そうでさ。何度神様ってやつを恨んだか分かんないよ。｣

自然と涙が溢れていた。

俺は知らなかったんだ。
廊下で説明を終えた智にぃと翔にぃ、
トイレを終えた雅にぃたちが聞いていた事を。