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「髪染めたの?」

篤「まぁね。また戻すけど。」






PC画面に映るのは、以前より明るい髪で自慢気に名前入りタンブラーを見せびらかす彼。

こっちに帰ってくる前に黒髪に戻すのだと言う彼に、なんだか夏休みを謳歌する高校生のようだなんて小さく笑って、



でも束の間のオフをリラックスして過ごせている様子に、少し安心した。






「そういえば、婚姻届はもう出した?」

篤「あ?まだ。」

「いつ出すの?」

篤「今でしょ。笑」

「………」






”…笑えし。”と恥ずかしそうにしている彼。



つまらない冗談で誤魔化しているけれど、もしかして忘れていたのではないだろうか。

疑いの眼差しを彼に向ければ、慌てたように小さく咳き込む。






篤「いや、別に忘れてた訳じゃないからね?笑」

「…本当?」

篤「本当だって。笑 俺をなんだと思ってるわけ?」






”心外だわ〜”とわざとらしく首を横に振ると、丁寧にファイルに入れられていたそれを大切そうに取り出す。



まるで皺一つつけまいとするように、親指と人差し指で端だけをちょこんとつまみ、

丁寧に、丁寧に、






篤「ほら。Aパパにもサイン貰いに行ったし。」






そして彼が誇らし気に指さしたのは、
証人の欄に並んだ、彼のお父様と私の父の名。






篤「パパ、書く時めっちゃ手プルプル震えてんの。笑」






全てが埋まった婚姻届に、本当に私たちは夫婦になるんだなんて改めて実感して、

忘れてたいたわけではなかった彼に小さく謝りながら、二人で笑った。






篤「だから、Aはそんなこと気にせずフレデリックさんと話してなって。」

「え?」

篤「ピアニストの人って会話すんでしょ?作曲家と、ピアノと。……ふっ、すげー世界。なんだっけ、あれ、アーティスティックってやつ?笑」

「………」

篤「俺は無理だわ。サッカーボールと何話して良いのかわかんねー。笑」






”くくっ”と馬鹿にしたように笑う彼はなんとも憎たらしい。



でも、私には聴こえていないとでも思っているのだろうか。

その部屋に小さく流れている、
ピアノ協奏曲第1番が。






聴力には自信があるのだ。

きっと楽しみにしてくれている貴方の本音を、
私が聴き漏らすことはない。






「…ふっ」

篤「?」






次は私の番。

何度も見た夢の続きを、早くこの瞳で確かめたいーー

26→←24.Atsuto side



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向日葵(プロフ) - 久しぶりにノクターンを全部読みました!!!やっぱり感動するしいいお話だなって思いました。早くきらきら星の続きが読みたいなって改めて思いました。。。待ってますね!! (2015年11月21日 15時) (レス) id: 625bd2f9b0 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - 初めまして。この小説を初めて読んだ時にコメントさせてもらおうかなと思いましたが全部読んでからと思って、今日になりました。最初に読んだ時から引き込まれて、毎朝の日課になって、朝が楽しみになりました笑少しでも私の気持ちが伝わっていればと思います(o^^o) (2014年10月24日 16時) (レス) id: 89de68dc72 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして、素敵なお話を読ませて頂いて本当にありがとうございます。温かくて、柔らかくて、読んでるだけでこっちが幸せな気持ちになってしまいました。なんだかいつまでもこの2人を見ていたい、と思ってしまう程です。このお話が大好きです。 (2014年10月4日 9時) (レス) id: 02821e7e3d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当に面白かったです!クラシックは全然知らなかったんですけど、でてくる曲全てが気になってたくさん聞きました笑これからも頑張ってください!!! (2014年9月9日 17時) (レス) id: fd4e1ac951 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 初めてコメントします!!!!素敵なお話をありがとうございます!毎日読んでて幸せでした!こんな素敵な作品初めてです!素敵すぎて、なかなか抜け出せません…(笑)リピートで読んでいます。この二人が大好きなので、続編楽しみにしています!素敵な作品ありがとう (2014年8月26日 23時) (レス) id: 3e907fcd61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2014年6月28日 20時

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