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2.Atsuto side ページ2

洒落た外観と負けず劣らず、室内は中世のヨーロッパに舞い降りたかのようだった。

聞けば旦那さんはインテリアデザイナーをしているらしく、イギリス調の家具で統一されたリビングを眺めながら妙に納得してしまう。



おまけにティーカップまでもが洒落ていて、
亮子さんが作ったのだと言うケーキは頬が落ちる程に美味い。

彼女が此処に通いつめている意味も、分かる気がした。






リビングの片隅に在るアップライトピアノは、木目調で譜面台に花のペイントが施されている。

小さな男と隣同士に座りそのピアノを弾く彼女は、とても楽しそうな顔をしていて、






亮子「亮輔はAが大好きなんです。」

篤「そうなん、すか?」

亮子「ええ。もうすっかり恋人気分で。笑」






あんな顔をしてピアノを弾く彼女を見るのは、えらく久しぶりだ。






亮子「亮輔もピアノをやってて、元からAのファンだったんですよ。」

篤「へー。」

亮子「それが一ヶ月前に偶然再会して、それから凄く懐いちゃって。」






亮子「子供用の携帯ってあるじゃないですか。登録した人にしかかけられないし、着信も出来ないやつ。

共働きだから心配で一応持たせてるんですけど、どうしてもAのも登録したいって聞かなくて。たまにこっそり、かけてるみたいです。笑」






<着信-天野亮輔>

あの日彼女のiPhoneに表示されていた名前は、そういう訳だったのか。



確かあの時、彼女は何かを言いかけていた。



”ううん、友達。”

”こっちでパティシエやってるんだって。小学校の同級生なの。その子ね、もう小、”



でもその話は松原さんからの着信で遮られ、彼女は至急事務所に呼び出されてしまったんだっけ。

もしあの時松原さんからの着信が無かったとしたら、きっと彼女はこう続けていたのかもしれない。



ーその子ね、もう小学一年生の子供がいるんだよ。今かけてきたのは、その亮輔くん。凄く懐いてくれてるんだ。ー






篤「…まじっすか。……いや、実は、笑」






事の経緯を亮子さんに打ち明けると、目を丸くしながら声を上げて笑う。

あの日から始まった壮大な勘違いに、俺ももう込み上げる羞恥心を笑って誤魔化すしかなかった。






亮子「そんな事があったんですか?笑
Aも早く言ってくれれば良かったのに。」

篤「いや、彼女もさっき気づいたみたいで、笑」






仲良くピアノを弾く二人を眺めながら、亮子さんと二人で笑い合った。

3.Atsuto side→←1.Atsuto side



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向日葵(プロフ) - 久しぶりにノクターンを全部読みました!!!やっぱり感動するしいいお話だなって思いました。早くきらきら星の続きが読みたいなって改めて思いました。。。待ってますね!! (2015年11月21日 15時) (レス) id: 625bd2f9b0 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - 初めまして。この小説を初めて読んだ時にコメントさせてもらおうかなと思いましたが全部読んでからと思って、今日になりました。最初に読んだ時から引き込まれて、毎朝の日課になって、朝が楽しみになりました笑少しでも私の気持ちが伝わっていればと思います(o^^o) (2014年10月24日 16時) (レス) id: 89de68dc72 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして、素敵なお話を読ませて頂いて本当にありがとうございます。温かくて、柔らかくて、読んでるだけでこっちが幸せな気持ちになってしまいました。なんだかいつまでもこの2人を見ていたい、と思ってしまう程です。このお話が大好きです。 (2014年10月4日 9時) (レス) id: 02821e7e3d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当に面白かったです!クラシックは全然知らなかったんですけど、でてくる曲全てが気になってたくさん聞きました笑これからも頑張ってください!!! (2014年9月9日 17時) (レス) id: fd4e1ac951 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 初めてコメントします!!!!素敵なお話をありがとうございます!毎日読んでて幸せでした!こんな素敵な作品初めてです!素敵すぎて、なかなか抜け出せません…(笑)リピートで読んでいます。この二人が大好きなので、続編楽しみにしています!素敵な作品ありがとう (2014年8月26日 23時) (レス) id: 3e907fcd61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2014年6月28日 20時

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