検索窓
今日:8 hit、昨日:35 hit、合計:407,896 hit

1.Atsuto side ページ1

『…A、こいつが婚約者?』






俺を鋭く睨みつけたまま、男が言った。






「うん。」






そして彼女は俺をチラリと見ながら、頷いて、






『…ふーん?なんか、微妙。』

篤「………」

『服なんてちょーダサいし。顔も普通。』

篤「………」






彼女がくすっと笑う。

その手は男と 繋がれたまま。






『やっぱりやめた方が良いよ、こんな男。俺の方が絶対Aを幸せにできる。』

篤「………」






”ね?”と彼女を見上げるその男は、あまりにあどけない笑顔で彼女に微笑みかけ、






「ふっ」






彼女は俺の知らないあの笑みを浮かべながら、その男の頭を優しく撫でた。






篤「…………ちょ、待って。…は?」






『亮輔!まったく、あんたはどこでそういう事覚えてくるの?』






怒鳴り声を上げながら部屋から顔を出したのは、俺と同世代くらいの女性だった。

俺を見つけるなり少し驚いたような顔をして、パタパタとスリッパの音をたてこちらに向かって来る。






「ごめんね。さっき帰ったばかりなのにまた来ちゃって。」

『ううん、それは良いんだけど…』






その女性は彼女から俺に視線を移すと、戸惑いながらも小さく頭を下げた。



俺より少しだけ長く、

少しだけ明るい髪を揺らしながらー






「彼に、亮ちゃんを紹介したくて。」






亮…ちゃん?






彼女の紡いだ言葉が 蘇る。






”……………ごめん…私…”

”篤人くんの言ってる意味が…良く分からない ”






俺の腕を解き彼女は確かに、
怪訝な顔でそう言った。



”今、男って言ったの?” と。






「紹介するね。婚約者の、内田篤人さん。」

『勿論良く存じ上げてます。やっぱり本物も男前なんだ。』

『そう?ママ、コンタクト入れてる?』

『亮輔!』






彼女が笑う。
俺の知らない あの笑顔で。

そして女性は男の頭を小突く。
先程のように 怒鳴りながら。






「こちら、小学校の同級生だった藤原亮子さん。…あ、違う。もう天野さんだ。笑」

『そう。笑』






は?亮子、さん?






「で、この子が天野亮輔くん。もう小学一年生なんだよね?」

『うん!』






そいつが…亮輔?

俺の身長の半分くらいしかない、その男が?






『内田篤人、お前にAは渡さないよ?』

『こら!』



篤「………」






呆然とする俺を見て、笑う彼女。

どうしようもない程に溢れていた嫉妬心が、
羞恥心へと変わってゆくー

2.Atsuto side→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (370 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
510人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

向日葵(プロフ) - 久しぶりにノクターンを全部読みました!!!やっぱり感動するしいいお話だなって思いました。早くきらきら星の続きが読みたいなって改めて思いました。。。待ってますね!! (2015年11月21日 15時) (レス) id: 625bd2f9b0 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - 初めまして。この小説を初めて読んだ時にコメントさせてもらおうかなと思いましたが全部読んでからと思って、今日になりました。最初に読んだ時から引き込まれて、毎朝の日課になって、朝が楽しみになりました笑少しでも私の気持ちが伝わっていればと思います(o^^o) (2014年10月24日 16時) (レス) id: 89de68dc72 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして、素敵なお話を読ませて頂いて本当にありがとうございます。温かくて、柔らかくて、読んでるだけでこっちが幸せな気持ちになってしまいました。なんだかいつまでもこの2人を見ていたい、と思ってしまう程です。このお話が大好きです。 (2014年10月4日 9時) (レス) id: 02821e7e3d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当に面白かったです!クラシックは全然知らなかったんですけど、でてくる曲全てが気になってたくさん聞きました笑これからも頑張ってください!!! (2014年9月9日 17時) (レス) id: fd4e1ac951 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 初めてコメントします!!!!素敵なお話をありがとうございます!毎日読んでて幸せでした!こんな素敵な作品初めてです!素敵すぎて、なかなか抜け出せません…(笑)リピートで読んでいます。この二人が大好きなので、続編楽しみにしています!素敵な作品ありがとう (2014年8月26日 23時) (レス) id: 3e907fcd61 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:laiz | 作成日時:2014年6月28日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。