ノクターン第13番 ll

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「…ふぅ、」






搭乗ゲートへと入る前、一つ大きく深呼吸をする。

この街での経験を深く自分の中に刻むように、
それをあの街で糧に出来るように、






「………」






そして、あの街で待つ恋人にメールを送った。

＜これから飛行機に乗るよ。多分着くのは、お昼くらい。＞






今から帰るよ、貴方の元に。

こんなに自分勝手な私を、待っていてくれてありがとう。






ーーーvorwarts…



＜俺ら何歳まで生きると思う？＞

＜俺はね、引退したら田舎で暮らして、子供とトマト育てたい。＞

＜んでまぁ出来れば孫も見たいし、80くらいまで生きれれば文句ないかな。＞



ーー



ーーーvorwarts…



＜まぁとりあえず、あと何十年もあるってこと。＞

＜そう考えたらさ、ちょっとくらい良いんじゃないの？離れてんのも。…って、俺は思うけどね、＞

＜何年でも行って来なよ、満足するまで。＞



ーー






応援してくれてありがとう。






ーーーvorwarts…



＜…だからまぁ、とりあえずエリザベス？エリザベート？…よくわかんねーけど、それで一位取ってきてよ。＞

＜ファン第1号として、ゲルキルから応援してますっ。＞



ーーー



ーーーvorwarts…



＜いってらっしゃい。＞



ーーー






支えてくれてありがとう。






ーーーvorwarts…



＜焦って試合出るんじゃなかったー。怪我しなきゃあのまま順調にいけたのに。また復帰して調子戻んなかったらどーしよー。ベンチ外とかなったらへこむわー。＞

＜どう、カッコ悪い？笑＞

＜しょーがないっしょ。にんげんだもの。笑＞



ーーー



ーーーvorwarts…



＜誰だってたらればくらい考えるでしょ。無難な方選んでいきたいのは当然でしょ。＞

＜心ん中じゃ何かのせいにしてたりするしね、俺だって。＞

＜口に出すか出さないかの違いでしょ、人なんて。心ん中で思ってることなんて、だいたいみんな同じだって。＞



ーーー






今から帰るよ、貴方の元に。

一年前より強くなったこの心と、
一年前よりずっと大きく育った愛を持って。






"ブーッ"






＜了解。なる早で。＞






「…ふっ、」






彼に会えるまで、あと二時間ーー

作者より 3/14追記→←47

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