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松「え、それってさ、同棲してたりすんの?」

「…はい。」

松「前から?」

「はい。」

松「なんだ、じゃあ俺が引き離しちゃったんじゃん。」






"ごめん。"と申し訳なさそうに両手を合わせた後、"早く言ってよー"と私の背中を叩く。






松「オーストリア美女は全然駄目だったから、俺もさっさとドイツ美女見つけよ。」

「全然駄目だったんですか?笑」

松「うん。あ、相手にされなかったわけじゃないよ?俺の御眼鏡に適う人がいなかったってこと。」

「へー。笑」






首に下げた大きなシルバーアクセをジャラジャラさせてそう言う松原さんに、"それが原因じゃないですか?"なんて言葉を出しかけて笑い声にすり替えた。






松「じゃあ、彼氏さんに挨拶しなきゃ。」

「え?」

松「当たり前でしょ。Aちゃん家まで送迎したりすんだからさ。」

「あぁ、そうですよね、」






仕事現場に向かう時、必ず迎えに来てくれる松原さん。

ドイツでの仕事が始まれば、必然的に彼と顔を合わせることになるんだなんて今更になって気づく。






松「どんな人なの?」

「んー…松原さんも知ってると思います。笑」

松「え?どういうこと?」

「セミファイナルの時に会場に来てくれてたんです。それで、お花を置いていってくれて、」

松「あー、あの嫌がらせメッセージ付きの?」

「…はい。笑」






"そっちがな。"

彼はそれを、嫌がらせメッセージと呼ぶ。



財布に入れて大切に持ち歩いている私を、いつも怪訝な顔で見つめてくるのだ。






松「ふーん。変わった人ってことね。」

「え?」

松「絶対変わってるでしょ。まだセミファイナルなのにでっかい花束持って来て、しかもあんなメッセージ残してくなんてさ。」

「…、笑」

松「やっぱAちゃんの趣味って、人とちょっと違うんだ?」






"あのサンタとかヤバイしね。"と間取り図に目線を戻した松原さん。



"うっちーいたんだけど、"

あの日そう騒いでいた彼に、恋人の名はまだ内緒にしておこうなんて少しの悪戯心が芽生えたりして、






松「大丈夫。俺、変人には慣れてるから。音楽家って多いでしょ、変な人。」






松原さんの手元でひらひら揺れる間取り図には、"Gelsenkirchen"の文字。

少し懐かしいあの街に、早く帰りたくて、

早く会いたくて、






「確かに…変わった人、かもしれません。笑」






彼に会えるまで、あと一ヶ月ーー

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laiz(プロフ) - うっちーさん» リラックス効果高けぇ、何だか懐かしい台詞ですね(*^^*)読み返して下さりありがとうございます。二人の出会いも懐かしい…(^-^)続編ではようやく二人の生活が戻ってきます。また癒しを沢山提供できるよう頑張りますので、是非覗きにいらして下さいm(_ _)m (2014年3月14日 21時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - 祐さん» ありがとうございます(*^^*)二人とも早く会いたくてウズウズしていますね^ ^やっと二人の生活が戻ってきます。続編作成いたしましたので、是非覗きにいらして下さいm(_ _)m (2014年3月14日 21時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
うっちー(プロフ) - ほんとこの小説は癒やされます。篤人さん風に『リラックス効果高けえ』です。最近また最初から読み直してます。「そういえば二人の出会いのきっかけは槙野だったなぁ」なんて懐かしく思ってます。続きを楽しみに待ってます。 (2014年3月13日 10時) (レス) id: 30fdb895e9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ノクターン第13番鵺お疲れ様です(^^)お互い再会が待ち遠しい感じが伝わってきます☆更新大変だと思いますが、楽しみにしていますm(__)m (2014年3月13日 1時) (レス) id: dac0be65c1 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» こんばんは。楽しみに待つ内田さんと、それを気持ち悪がる母、ほっこりの回でしたね(*^^*)あー早く二人の再会が書きたい。でも、焦らすのも好きです^ ^笑"ななさん、このシリーズの結末まで是非お付き合い下さい!それまで楽しんで頂けるよう、頑張りますo(`ω´ )o (2014年3月12日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2014年2月15日 20時

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