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松「11月にCD出して、年末に単独公演。…どう?」

「はい。」






ウィーンにある所属事務所の会議室、

今日は松原さん含め数人のスタッフたちと、今後の活動について話合いの場が設けられた。






松「場所はウィーンと…Aちゃんは他にやりたい所ある?」






どんどん進んでゆく新しい夢の話。

でももう他人事のようには聞こえなくて、
私はこの新たな道を、ゆっくりと歩き出しているのだと実感する。






「日本と、ドイツでやりたいです。」






すぐに二国の名を出せば、松原さんは納得したように頷いた。

きっと私の答えが、はじめから分かっていたのだろう。






松「まぁ、その三箇所ならホール埋められるだろうね。」






篠崎Aの名で、単独公演ができる日が来るなんて思ってもいなかった。



私を育ててくれた故郷、
たくさんの苦悩を教えてくれたこの街、
私を強くしてくれたあの街、

それぞれ大切な場所に、錦を飾りたい。






松「じゃあ、その三箇所で決まりで。」

「はい。頑張ります!」






高鳴る鼓動を抑えることすら、忘れていた。






松「あとは、活動拠点をどこにするかって話なんだけど、」

「はい、」






松「ドイツじゃなくて、俺はこのままウィーンが良いんじゃないかなって思ってる。」

「………」






ドクンと一つ鼓動が跳ねた。

でも、本当はその言葉をどこかで予想していたんだ。






松「母校があるのも大きいのかもしれないけど、この街の人たちはAちゃんの優勝を凄く祝福してくれてるし、随分大きく取り上げてくれてるし、」

「…はい、」

松「もちろんドイツもクラシックは盛んだけど、やっぱりここ程じゃない。常に世界に注目してもらうためには、ここにいた方がチャンスが広がると思う。デメリットはないよ。」

「………」






まわりのスタッフたちも、その通りだと言わんばかりに何度も頷く。

そして私も、
それが正しいのだろうと充分理解している。



でも、






「…活動拠点をここに置くというのは、このままここに住む、ということですよね?」

松「そうだね。」

「………」






それだけが正しい答えなのだろうか?






松「ま、少し考えてみて。あっちでの生活もあったんだろうから、強制はしない。」

「…はい。」

松「ただ、自分の仕事にメリットになることを一番に考えてね?」

「……わかりました。」






大切な答えは、他にない?ーー

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laiz(プロフ) - うっちーさん» リラックス効果高けぇ、何だか懐かしい台詞ですね(*^^*)読み返して下さりありがとうございます。二人の出会いも懐かしい…(^-^)続編ではようやく二人の生活が戻ってきます。また癒しを沢山提供できるよう頑張りますので、是非覗きにいらして下さいm(_ _)m (2014年3月14日 21時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - 祐さん» ありがとうございます(*^^*)二人とも早く会いたくてウズウズしていますね^ ^やっと二人の生活が戻ってきます。続編作成いたしましたので、是非覗きにいらして下さいm(_ _)m (2014年3月14日 21時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
うっちー(プロフ) - ほんとこの小説は癒やされます。篤人さん風に『リラックス効果高けえ』です。最近また最初から読み直してます。「そういえば二人の出会いのきっかけは槙野だったなぁ」なんて懐かしく思ってます。続きを楽しみに待ってます。 (2014年3月13日 10時) (レス) id: 30fdb895e9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ノクターン第13番鵺お疲れ様です(^^)お互い再会が待ち遠しい感じが伝わってきます☆更新大変だと思いますが、楽しみにしていますm(__)m (2014年3月13日 1時) (レス) id: dac0be65c1 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» こんばんは。楽しみに待つ内田さんと、それを気持ち悪がる母、ほっこりの回でしたね(*^^*)あー早く二人の再会が書きたい。でも、焦らすのも好きです^ ^笑"ななさん、このシリーズの結末まで是非お付き合い下さい!それまで楽しんで頂けるよう、頑張りますo(`ω´ )o (2014年3月12日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2014年2月15日 20時

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